在外研究が終わりました ウプサラより(6)

2014/02/24

ウプサラ大学での活動は全日程を終了しました。ステファン先生には最後の日まで論文についてコメントをいただき、何とか構成について及第点をもらいました。マッツ先生からはいくつかの宿題をもらいました。温かく接してくださったメンバーをはじめ、多くの方々と別れることは名残惜しいですが、今回の滞在をきっかけに次の新たな段階、新たな関係に進めるという意味では祝福するべきことだとも思っています。個人的にも、大きな病気やケガもなく帰国できることは大変な幸運です。

私の作業の関係上、公衆衛生や研究倫理、研究者のライフスタイルなどに興味が偏ってしまいますが、個人的に総評しますと、スウェーデン社会は、種々の社会問題を抱えつつも、不信感や性悪説ではなく、有形無形の政策基盤と良識によって主に支えられているように見えました。生命倫理についても、合理性と機能性を重視した政策作りが印象的ですが、国が個々人の行動に深く介入する土壌もあります。もう一つ認識したことは、日本で起きている問題は、海外の問題意識をそのまま当てはめるのではなく、日本での問題意識を大事にし、また日本なりの解決策を考えなくてはいけないという、当然と言えば当然のことでした。逆も然りで、日本の問題や解決策の本質を海外に説明することはなかなか容易な作業ではありません。

最後の昼食会で、(今さらですが)私はこのセンターが受け入れた初めての海外研究者だということを知りました。慣れないことも多くあったはずですが、常に温かく、そして公平に接していただきました。余韻に浸る余裕はなさそうですが、今回の滞在が実りあるものであったといえるよう、次にお会いするときに少しは成長した姿をお見せしたいと決心しました。最後になりましたが、ウプサラ大学CRBの愛すべきメンバーたち、滞在をサポートしてくれた支援スタッフの方々、また快く送り出してくださった所長や武藤教授はじめ職場の方々に心より御礼申し上げます。

上写真:ウプサラは欧州では有名なネコの童話の舞台です。
下写真:同じく市内にて。冬の長い夜にはろうそくの灯りが好まれています。

井上:ウプサラ大学にて在外研究中/スウェーデン王国)