2015年度第10回公共政策セミナー

2016/02/03

本日、2015年度、第10回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。

◆日時:2016年2月3日(水) 10時00分~12時30分

発表者1: 神里彩子(東京大学医科学研究所 研究倫理支援室/公共政策研究分野 特任准教授)
タイトル: 「全員加盟制医師組織による専門職自律」に関する一考察

要旨:

2013年8月に日本学術会議・医師の専門職自律の在り方に関する検討委員会が『報告「全員加盟制医師組織による専門職自律の確立-国民に信頼される医療の実現のために-」(2013年8月30日)』を発表した。そこでは、法定の全員加盟制医師組織「日本医師機構(仮)」の設置が提言されている。日本医師会は、医師の組織として最大のものといえるが、医師法等の医療分野に特化した法律に基づいて設立された法定団体ではなく、戦後間もない1947年に民法34条に基づいて任意に設立された公益社団法人である(公益法人制度改革に伴い2013年に「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」に則って公益認定)。また、日本医師会に加入するか否かは各医師の判断に委ねられている(加入数は全医師の6割程度)。このように日本医師会は「任意設立・任意加入の公益社団法人」という体制をとっている。医療の質を確保するためには、日本学術会議報告の言うように、法定の全員加盟制医師組織、換言すれば、強制設立・強制加入の医師組織が必要なのだろうか?医療の質を確保するための医師組織とはどのようなものであるべきだろうか?本報告では、このリサーチクエンチョンへの手がかりとして、「日本医師会」の設立・加入体制の経緯を概観し、そこから見えることを考察したい。

発表者2: 小林智穂子(大学院学際情報学府 文化・人間情報学コース 博士後期課程)
タイトル: 勤労者による社会貢献活動への寄与の現状と課題

要旨:

近年、企業ボランティア活動が注目されている。企業ボランティアとは、企業により奨励・支援を受けている活動のことで、公共の福祉の実現に寄与しようとする活動にみうけられる。これらの活動は、福祉への寄与の観点から見て、職域福祉の強化や企業市民活動の実践という側面があると整理されている(武川 2011)が、実際に企業ボランティア活動に関与した経験をもつ人々が、企業が奨励・支援するボランティア活動について、どのような経験をし、どのような意識をもっているのか、その実情は明らかにされていない。本報告では、これらを明らかにするために行ってきた、CSRデータを用いた実態調査と、インタビュー調査の進捗報告を行う。