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東京大学医科学研究所公共政策研究分野

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2019年第10回公共政策セミナー

2020/03/11

本日第10回公共政策セミナーが開かれました。

内容は以下の通りです。

◆日時:3月11日10時~12時半頃

◆発表者1.小林智穂子(東京大学大学院学際情報学府文化・人間情報学コース 博士後期課程)

◆タイトル:高齢者は福祉の担い手になりうるか-高齢者のボランティアに関する調査より-

◆要旨:超高齢社会を迎える日本においては、高齢者の自宅での暮らしを維持するための日常的な生活支援ニーズの増加が見込まれている。これらは行政によるサービスでは充足できないため、地域包括ケアシステムを構築する政策がすすめられている。地域包括ケアでは、高齢者の社会参加が、福祉の支え手の充足としても、自身の介護予防観点からも期待されている。高齢者の社会活動状況調査によれば、高齢者の地域活動・社会貢献活動への参加意欲は高いが、福祉の支え手の充足に繋がる、定期的なボランティア活動は明らかではない。そこで、中高年者・高齢者を対象に、ボランティア活動への参加の現状、参加の促進・阻害要因を明らかにするため調査会社に委託し質問紙調査を行った。セミナーでは、これらの調査の結果と考察を中心に報告を行う。

◆発表者2.渡部沙織(東京大学先端科学技術研究センター人間支援工学分野)

◆タイトル:難治性疾患患者の研究参画における諸課題

◆要旨:本研究の⽬的は、ジェネティック・シティズンシップ(遺伝学的市⺠権)に基づく難病患者の研究参画について、政策的基盤整備のための課題を明らかにする事である。科学と患者、医療市場の関係性における新たなシティズンシップとして研究参画を捉える諸先行研究のパースペクティブを踏まえ、⽇本における患者を中⼼とする研究参画の実相と課題について調査分析した。2018年から2019年の間に実施した難治性疾患の研究者と患者会を対象とした意識調査、及び日本・アメリカでの事例研究を通じて、⽇本の研究参画に関する実情や、それぞれの障壁について分析を行った。患者会も研究者も、患者が研究に参画する事の研究側のメリット(試料収集の効率化、アンメットニーズの把握、より患者の視点に即した研究デザインの実現など)を把握し、研究参画の推進に対する肯定的な回答が多数派を占める。しかし、⽇本の患者会の組織運営基盤は常勤スタッフのいないボランティアの運営が主流で、財政や労務の負担を誰がどう担うのかが⼤きな課題となっている。研究費や国費でサポートを実施する事についても政策的検討が必要であり、また医学研究に関する基本的なリテラシー教育の提供機会も求められている。アメリカや欧州の事例との⽐較等に基づいて、科学政策として独⾃の関係諸法令やガイドラインの整備が今後必要とされる。

 

 

2019年第9回公共政策セミナー

2020/02/12

本日第9回公共政策セミナーが開かれました。

内容は以下の通りです。

◆日時:2月12日10時~12時半頃

◆発表者1.李 怡然(東京大学医科学研究所 公共政策研究分野 特任研究員)

◆タイトル:遺伝性腫瘍に関する家族内での情報共有の課題点

◆要旨:報告者はこれまで、家族内における遺伝情報に関する「リスク告知」というテーマについて、遺伝性腫瘍を事例に取り組んできた。遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)は、予防・治療法といった対処可能性(actionability)の高い代表的な遺伝性腫瘍であり、疾患の早期発見や予防のために、積極的に血縁者と情報を共有することが、医療専門職の学会ガイドライン・指針等で推奨されている。これまでの遺伝性疾患に関する先行研究では、親から子に伝える葛藤や困難に着目することが多かったものの、患者からきょうだいや親世代を含む親族、友人や職場など家族外へ打ち明ける際の課題点は、十分明らかにされていない。本報告では、HBOC患者が、家族らと情報共有を行うことにどのような態度を有しており、相手からの反応によって生じるジレンマにどう向き合っているのか、インタビュー調査の結果を紹介し、情報共有における課題点を検討したい。

◆発表者2.井上 悠輔(東京大学医科学研究所 公共政策研究分野 准教授)

◆タイトル:非倫理的な研究論文の原稿の取扱いについて

◆要旨:2018年の中国での胚ゲノム編集に関する報告は様々な波紋を呼んできた。本発表では、先月号のネイチャー・バイオテクノロジー誌のエディトリアルを素材としつつ、特に発表倫理との関係から検討したい。この試行については、学術的に十分に評価されていないこともあって、様々な憶測を呼んでいる。最近、この研究者らが投稿していた原稿の一部が第三者に流出したことが確認され、新たな論点となっている。プロセスに課題の多かった研究で得られた知識をどのように取り扱うべきか。研究倫理における過去の議論と2015年の拙稿を振り返りつつ、今回の出来事を整理して、その位置づけを図りたい。

 

 

 

 

2019年第8回公共政策セミナー

2020/01/08

本日第8回公共政策セミナーが開かれました。

内容は以下の通りです。

◆日時:1月8日10時~12時半頃

◆発表者1.内山正登(東京大学医科学研究所 公共政策研究分野 客員研究員)


◆タイトル:2019年の研究活動の報告と博士論文の概要

◆要旨:昨年一年間、これまで行ってきた受精卵を中心としたヒト生殖細胞系列へのゲノム編集に関する啓発プログラムの開発以外に、食品へのゲノム編集の利用に関する意識調査、遺伝分野における適切な用語のあり方に関する研究活動を進めてきた。それぞれ、学会発表と論文投稿というかたちでまとめることができた。そこでこれらの報告をするとともに、現在取り組んでいる博士論文の概要と進捗状況について説明する。

◆発表者2.須田 拓実(大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻医療イノベーションコース 修士課程)

◆タイトル:Undocumented Immigrantsの医療へのアクセスに関わる諸課題について

◆要旨:発表者が昨年4月以降に主に取り組んできた内容を整理した上で、特に関心を持った上記のテーマについて調べたことと、今後の課題や発表者が調査・検討したいことを報告する。在留資格のない外国人(Undocumented Immigrants)に関して、医療の提供より取締を強化しようとする国々が見られる。例えば米国では、特に現在の政権下での移民政策において、連邦政府が主体となってUndocumentedImmigrantsを拘束し、国外追放する事案が多数ある。この動きに対して一部の州や医療機関では、在留資格を問わず外国人が必要とする医療を提供することで、ある種の「駆け込み寺」として機能するべく取り組まれている。日本では、2000年代の取締強化により、Undocumented Immigrantsの数は減少した。しかし、近年で国策として受け入れ数が急増している技能実習生を初めとして、在留資格を失うリスクを抱えた外国人は存在し、今後の増加も見込まれる。海外での議論を参考にしつつ、日本国内でUndocumentedImmigrantsに対しても医療へのアクセスを担保するために、発表者が今後取り組むべきと考えている課題を述べる。

 

 

2019年第7回公共政策セミナー

2019/12/11

本日第7回公共政策セミナーが開かれました。

内容は以下の通りです。

◆日時:12月11日10時~12時半頃

◆発表者1.楠瀬まゆみ(大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻博士後期課程)

◆タイトル:研究におけるベネフィットシェアリングに関する倫理的議論に関する検討

◆要旨:研究倫理の文脈においてベネフィット・シェアリング(benefitsharing)の議論がなされ始めたのは比較的新しく、議論が十分になされていない
分野の一つである。従来、研究におけるヒト試料・情報の提供に関しては利他主義に基づいた無償提供が前提とされている。しかし、企業等のなかには、それら無償で得た情報を販売することによって利益を得ている場合もある。Schroeder(2006)は、ベネフィット・シェアリングを、交換の正義を達成するためにヒト遺伝資源提供者にその資源利用に由来する利益や利潤の一部を提供する行為と定義する。さらにAnderson & Schroeder(2013)は、ベネフィット・シェアリングの背後にある哲学的原則として、科学技術の研究や発展に貢献した人々は、その利益を共有するべき(oughtto)であると述べ、科学的進歩の貢献者と利益を共有しない場合の搾取の可能性について指摘している。そこで本発表においては、研究におけるベネフィット・シェアリングに関する基礎的文献からベネフィットシェアリングに関する根本をなす倫理的議論を概観する。

◆発表者2.河合香織(大学院学際情報学府文化・人間情報学コース修士課程)

◆タイトル:遺伝的特徴における結婚差別とは何か

◆要旨:遺伝的特徴に基づく差別とは、科学的に解析あるいは検査されたゲノムの状態をも含む、遺伝的特徴に基づくあらゆる区別、排除、制限、又は優先である(厚生労働科学特別研究,2017) 。その中でも結婚をめぐって生じうる差別とは何かについて、修士論文として調査する。 差別の形成にあたって、遺伝カウンセリング等の専門知を提供する遺伝医療の専門家の規範や差別意 識が当事者の意識に反映する場合も少なくないと予想する。専門家を対象に、差別に関する教育歴、自身が形成した規範と臨床実践、クライアントからの相談内容と対応の事例など、質問紙調査とインタビュー調査を行うことにより、遺伝的特徴に基づく差別に関する知の蓄積に貢献したい。

 

 

2019年第6回公共政策セミナー

2019/11/13

本日第6回公共政策セミナーが開かれました。

内容は以下の通りです。

◆日時:11月13日10時~12時半頃

◆発表者1.高嶋佳代(大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻博士後期課程)

◆タイトル:患者対象のFIH試験における倫理的課題の検討

◆要旨:治療法開発において初めて人を対象とするFirst in Human(FIH)試験では、安全性を確認することが主な目的となる。しかしながら、一般的な薬理試験でのFIH試験が健康な成人を対象とするのに対して、FIH試験の対象が患者である場合、リスクベネフィットのバランスを検討するのは容易ではない。その理由として、患者が対象となるFIH試験の場合、他に(標準)治療法がない場合があり、安全性のみならず、ある程度の治療的効果を期待することを一概に否定できないことが挙げられる。そこで本研究では、患者を対象として初めて試みる医療行為としてのFIH試験について理論研究を行い、その上でFIH試験に参加する患者自身の意識に着目して、患者自身によるリスクベネフィットの考え方や、FIH試験の意義などを考察したい。今回は、先月参加させて頂いたASBH(American Society for Bioethics and Humanities)で得た知識なども含めて研究の進捗に関する発表を行う。

◆報告2.飯田寛(大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻博士後期課程)

◆タイトル:修士課程と博士課程の研究の状況

◆要旨:修士課程で研究した「日本における生命保険と発症前遺伝学的検査をめぐる諸課題の検討」について、その後の学会誌への投稿状況等について報告する。博士課程においては労働分野におけるゲノム情報の取扱いに着目している。労働者の高齢化や少子化による労働者の減少の観点から事業者は労働者が健康で長く働くことを求めている。また、労働者もより長く働くことを望んでいる。この観点から労働者の職場の安全衛生や労働者の健康を管理する産業医の役割は今後益々重要である。一方で今般、ゲノム医療が本格的に開始されており、これにより自身のゲノム情報に接する労働者が今後増大することが予想される。事業者によるゲノム情報の利用は労働者に不利な帰結を生むとの懸念から、諸外国では法的な規制が設けられている(厚生労働科学特別研究2016)。また、事業者と雇用関係にある専属産業医の勧告権の行使には限界があるとの指摘もある(藤野2013)。そのようななか、2018年に労働安全衛生法が改正され、事業者による労働者の健康情報の取扱は、労働者の健康確保に必要な範囲に限られることがあらためて確認されるとともに、事業者には労働者の健康情報等の取扱規定整備を求めている。しかし、政省令においてゲノム情報への特別な言及はなく、産業医や健康保険組合がゲノム情報を取扱う可能性に関する議論が不十分である。そこで、博士課程の研究では特にゲノム情報の利用可能性がある治療と仕事の両立支援、健康増進、安全衛生という産業医と健康保険組合が関連する3つの領域で事業者の責務と労働者の不当な取扱いの間にどのような問題が起こっているのかの具体的な実態を把握し、労働分野を射程にしたゲノム情報の諸課題を整理する。

 

 

2019年第5回公共政策セミナー

2019/10/09

本日第5回公共政策セミナーが開かれました。

内容は以下の通りです。

◆日時:10月9日11時~12時頃

◆発表者:北林アキ(大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻博士後期課程科)

◆タイトル:患者・市民の視点を踏まえた医薬品情報の提供を実現するための課題の検討

◆要旨:医薬品は、品目毎に厚生労働省の承認を受けて初めて製造販売、すなわち市場に出荷又は上市できるようになる。しかし、承認前に得られる副作用等の情報は一般的に限られることに加え、2017年の条件付早期承認制度の開始等によって、承認後の情報収集の重要性が、副作用の早期発見や適正使用のために一層増している。収集する情報源として、これまで主であった製薬企業や医療者からの情報に加え、患者から寄せられる情報の利点が注目され始め、副作用の早期発見や適正使用のために当該情報を規制当局の意思決定に活用する取組みが世界的にも進んできている。しかし、こうした取組みが始まったのは2000年代初頭と比較的最近のことであり、未だ各国でも模索が続き、課題を抱えている状況である。そこでリサーチクエスチョンとしては、患者の実体験の情報を基に承認後の医薬品評価を行うという世界的な動向が、市民と医薬品行政の関係にどのような変化を求め、またそれはどのように可能なのか、ということを考案した。本報告にて、現在構想中の研究計画を共有することで、今後の調査研究の計画立案のための糧としたい。

 

 

2019年度第4回公共政策セミナー

2019/09/11

本日第4回公共政策セミナーが開かれました。

内容は以下の通りです。

◆日時:9月11日13時半~16時頃

◆発表者1.神原容子(東京大学医科学研究公共政策研究分野 学術支援専門職員)

◆タイトル:成人期ダウン症候群において必要とされる情報提供と家族支援のあり方について

◆要旨:ダウン症候群のある方々の平均寿命の延長に伴い、ダウン症候群のある成人に対する健康管理と合併症治療の重要性は増している。成人期のダウン症候群のある方とその家族を対象に開催した「大人のダウン症セミナー」の取り組みと、現在行っている研究内容について報告する。


◆発表者2.永井 亜貴子(東京大学医科学研究所 公共政策研究分野 特任助教)

◆タイトル:がん遺伝子パネル検査に対する患者・市民の態度に関する研究

◆要旨:がん組織の遺伝子を一括して網羅的に調べるがん遺伝子パネル検査は、2018年4月より先進医療として実施され、有効性と安全性について検討が行われた。2019年6月からは、がん遺伝子パネル検査の2製品の保険適用が開始され、がんゲノム医療を実施する体制づくりが進められている。こうした状況の下、2018年に実施したがん遺伝子パネル検査に関するインターネット調査の回答者であるがん患者、がん患者の家族、市民を対象として、2019年8月に同検査に関するインターネット調査を行った。本報告では、がん遺伝子パネル検査を取り巻く状況が変化する中で、同検査に対する態度に変化があるかについて検討した結果を報告する。

 

 

2019年度第3回公共政策セミナー

2019/07/10

本日、2019年度、第3回目の公共政策セミナーが開かれました。

内容は以下の通りです。

◆日時:7月10日(水)13時半~15時頃

◆発表者:李怡然(東京大学医科学研究所 公共政策研究分野 特任研究員)

◆タイトル:家族内における遺伝性がんの「リスク告知」に関する研

◆要旨:がんゲノム医療の推進に伴い、疾患の早期発見や予防、治療薬の選択のために、疾患の発病リスクを家族内で情報共有すること(「リスク告知」)が医療者から推奨されるようになっている。遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)は、医学的にactionable(対処可能である)とされる代表的な遺伝性がんであり、診断を受けたもしくは疾患の疑いがある患者から血縁者に「リスク告知」を行うことがますます期待されると考えられる。では、患者はどの程度、家族と遺伝学的なリスクや遺伝学的検査に関する情報を共有しようとしているのか。また、伝えるかどうかの選択にはどのような背景や、課題があるのか。
本研究では、上記の問題意識を出発点に、HBOC患者と家族へのインタビュー調査を実施している。本報告では、現在取り組んでいる博士論文の全体の構想を示した上で、これまでに実施した調査の結果の中から、「リスク告知」に関する語りに着目して、報告を行う。

 

 

2019年度第2回公共政策セミナー

2019/06/12

本日、2019年度、第2回目の公共政策セミナーが開かれました。
ゲストスピーカーの方にもお越しいただきました。
内容は以下の通りです。

◆日時:6月12日(水)13時半~16時頃

◆発表者1:船橋亜希子(東京大学医科学研究所 公共政策研究分野 特任研究員)

◆タイトル:最先端医療における刑事過失責任を考える

◆要旨:2017年度より「がんゲノム医療」という最先端の医療におけるELSI研究に携わったことを契機に、最先端医療と刑法の接点の模索と検討を繰り返してきた。当該活動における自身の一つの到達点が、伝統的な論点への回帰と再検討の必要性であった。そこで、当該課題に関するこれまでの取り組みと、現在行っている研究内容について、刑事医療過誤に関する研究内容も振り返りながら、報告する。

 

◆発表者2:中田はる佳(国立がん研究センター 社会と健康研究センター生命倫理・医事法研究部 研究員)

◆タイトル:未承認薬へのアクセス方法に関する日米比較

◆要旨:保険診療によるがん遺伝子パネル検査の導入や、人工知能技術による治療法選択の拡大により、患者が未承認薬の利用を検討する機会が増加することが見込まれる。未承認薬の利用方法として、日本では2016年から拡大治験と患者申出療養制度が導入されている。一方、米国では、従来からあったFDAのExpanded access programに加えて、いわゆるRight-to-try法が導入され、2018年5月末には連邦法が成立している。本報告では、日米の未承認薬利用制度を概観した上で、患者団体のウェブサイト調査の結果を紹介し、未承認薬利用に関する情報の普及について検討する。

 

 

2019年度第1回公共政策セミナー

2019/05/08

本日、2019年度第1回目の公共政策セミナーが開かれました。

内容は以下の通りです。

◆日時:2019年5月8日(水)13時30分~16時00分

◆発表者1.木矢 幸孝(東京大学医科学研究所 公共政策研究分野特任研究員)

◆タイトル:身体変化への抵抗の意味

◆要約:神経疾患の多くは難治性で、いまだ治療法の確立には至っていない。本報告が取り上げる球脊髄性筋萎縮症(以下、SBMA)も、そのような疾患の一つである。SBMAとは筋力低下や筋萎縮を主症状とする疾患である。ただ、近年の研究成果によって、SBMAに関する疾患修飾療法が世界に先駆けて薬事承認され、ロボットスーツHALは医療機器として承認され普及されつつある。確かにこれらは根治治療ではないが、SBMA患者の多くはそれらを利用している。しかし、上記以外の薬を服用する患者や運動療法として推奨されていない「筋トレ」をする患者も存在する。なぜ彼らはそのような行為をするのか。このような背景・問題意識のもと、本報告はSBMA患者の語りを通して、身体変化への抵抗の意味を考察する。その結果、彼らの行為は決して非合理的なことではなく、むしろSBMA患者全体に通底する問題から引き起こされた行為であることを示す。

◆発表者2.武藤 香織(東京大学医科学研究所公共政策研究分野教授)

◆タイトル:「身元保証」がない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン(案)について

◆概要:近年、身寄りがなく、意思決定が困難な状態にある人の入転院や医療に関して、医療機関が各自の方法で身元保証を求める動きがある。このことは医師の応召義務違反への懸念、成年後見制度の濫用、家族機能の代行として身元保証を業とする団体の登場と規制の要否などの議論につながっている。2017〜18年度にかけて、厚生労働省の研究班に参加し、医療機関への質問紙調査及びヒアリングを行った。その結果をもとに、今般、「身元保証」がない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン(案)が策定された。本報告では研究班の活動内容とガイドライン概要を報告する。

 

 

2018年度第9回公共政策セミナー

2019/03/13

本日、2018年度、第9回目の公共政策セミナーが開かれました。
ゲストスピーカーの方にもお越しいただきました。
内容は以下の通りです。

◆日時:2019年3月13日(水)13時30分~16時00分

◆発表者1:高島響子(国立国際医療研究センター メディカルゲノムセンター 上級研究員)

◆タイトル:患者遺伝情報の家族への共有に関する医師の義務

◆要約:患者は、自らの遺伝情報について知る権利・知らないでいる権利を有しており、医師は、患者の意思の尊重、並びに、守秘義務およびプライバシー保護の責務を負う。他方、患者の遺伝情報はその血縁者と一部共有されるため、患者家族の知りたい/知りたくないという希望と、患者の希望(あるいは患者の希望が不明である状況)との間に不一致が生じる場合がある。医師は、患者家族に患者の遺伝情報を伝える義務を負うか?患者への義務と家族の希望との間にジレンマが生じた場合にどうすればよいのか?本発表では、イギリスとドイツの2つの判例をもとにこれらの課題について検討する。

◆発表者2:武藤香織(東京大学医科学研究所 公共政策研究分野 教授)

◆タイトル:倫理審査委員会の一般の立場の委員をめぐる検討~患者・市民参画論の体系化を目指して

◆要約:倫理審査委員会に非専門家の立場の委員を置くというルールは、米国のIRBの歴史において構築され、広義での研究への患者・市民参画に含まれる。だが、非専門家委員への役割期待は、その歴史のなかで揺らぎ続けてきた。「人を対象とする医学系研究に関する研究倫理指針」では、「一般の立場の委員」の出席は倫理審査委員会の開催要件とされているが、その役割はガイダンスに少し触れられているだけで、実際にどのような役割を果たしているのか不明である。そこで、2018年10月、AMED「研究倫理審査委員会報告システム」に登録されている倫理審査委員会1,408件に調査票を送付し、最も経験年数の長い「一般の立場の委員」1名に調査票を配布する調査を実施した。
 本報告では、この調査結果のうち、「一般の立場の委員」の動機や役割認識などを中心に報告するとともに、研究への患者・市民参画をめぐる断片的な議論の体系化に向けた構想も述べたい。本調査は、AMED研究公正高度化モデル開発支援事業「倫理審査の質向上を目的とした倫理審査委員向け教材の開発」(代表:神里彩子)の一環として実施された。

 

 

2018年度第8回公共政策セミナー

2019/02/13

本日、2018年度、第8回目の公共政策セミナーが開かれました。
ゲストスピーカーの方にもお越しいただきました。
内容は以下の通りです。

◆日時:2019年2月13日(水)13時30分~16時00分

◆発表者1:神原容子(東京大学医科学研究所 公共政策研究分野 学術支援専門職員)

◆タイトル:遺伝カウンセリングについて

◆要約:遺伝カウンセリングの概略と私が行っている遺伝カウンセラーの仕事についてご報告させていただきます。

◆発表者2:渡部沙織(東京大学先端科学技術研究センター 人間支援工学分野 日本学術振興会特別研究員PD)

◆タイトル:ジェネティック・シティズンシップ(遺伝学的市民権)に基づく難病患者研究参画の基盤整備に関する研究

◆要約:本研究は、先進諸国で展開してきたジェネティック・シティズンシップ研究のパースペクティブを踏まえ、日本における患者を中心とする研究参画の実相と課題について医療社会学の手法を用いて調査分析する。シティズンシップ・モデルに基づく患者の主体的な研究参画を実現する制度的基盤、政策的含意について、明らかにする事が本研究の総合的な目標である。そのために本研究では、(1)日本における患者の研究参画の実相に関する聴き取り調査(2)患者の研究参画の障壁に関するウェブ・郵送アンケート調査(3)アメリカ、欧州の患者レジストリに関する調査(4)日本の患者登録・レジストリに関する調査、これら4 つのフェーズの調査を実施する。本日はフェーズ2で実施した患者の研究参画の現状と課題に関するアンケート調査の概況と結果について、分析の経過を報告する。

 

 

2018年度第7回公共政策セミナー

2019/01/09

本日、2018年度、第7回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。

◆日時:2019年1月9日(水)13時30分~16時00分

◆発表者1:内山正登(大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻 博士後期課程)

◆タイトル:ヒト生殖細胞系列へのゲノム編集に関する啓発プログラムの開発に関する研究 -これまでの研究のまとめと今後の課題-

◆要約:博士課程の3年間、受精卵を中心としたヒト生殖細胞系列へのゲノム編集に関する啓発プログラムの開発に向けて取り組んできた。本研究では、一般市民を対象とした意識調査、フォーカス・グループ・インタビュー、日本科学未来館との啓発プログラムの試行版の作成などを取り組みを行った。
 今回は3年間の研究活動の総括として、これまでの一連の研究内容を整理するとともに、現在取り組んでいる2018年に実施した意識調査に関する論文の進捗状況について報告する。また、博士課程予備審査会で今後の課題として指摘された”ヒト受精胚”の取扱に関する議論の整理に関する進捗状況を報告する。
 また、今後ヒト受精胚への一般市民の認識を明らかにするため、フォーカス・グループ・インタビューを再び実施する予定である。このフォーカス・グループ・インタビューの計画について紹介するとともに、今後の研究の進め方について報告する。

◆発表者2:李怡然(大学院学際情報学府 文化・人間情報学コース 博士後期課程)

◆タイトル:遺伝性疾患の患者の「リスクの医学」をめぐる経験と認識 

◆要約:網羅的なゲノム解析技術を利用したゲノム学が発展し、ゲノム情報をもとに診断や治療選択を目指すゲノム医療が国際的に推進されている。ゲノム医学/医療は、リスクの管理と疾病予防を重視する「リスクの医学」の一形態と考えられる。特に有効な治療・予防法の存在する(「対処可能な」)遺伝性疾患のリスクを、患者・家族が早期に知ることを推奨する動きが強まっている。このような背景の中で、国内の遺伝性疾患の患者は、どのような経緯で遺伝学的検査を受検し、発病リスクに向き合うかについては、十分明らかにされていない。そこで、本研究では、対処可能な遺伝性疾患の代表例とされる遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)の患者へインタビュー調査を実施した。本報告では、患者の受診経験や、遺伝学的検査を受検する過程に焦点を当てて、報告を行う。

 

 

2018年度第6回公共政策セミナー

2018/11/21

本日、2018年度、第6回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。

◆日時:2018年11月21日(水)13時30分~16時00分

◆発表者1:飯田 寛(大学院学際情報学府 文化・人間情報学コース 修士課程)

◆タイトル:発症前検査の影響―生命保険

◆要約:修士論文で取り組んでいる研究(発症前検査の影響‐生命保険)の背景・目的・方法・調査内容・中間報告について発表する。発症前検査の進展・普及が生命保険に影響することとしてアットリスクの状態の方及び血縁者が保険に入れないという遺伝差別の問題、アットリスクの加入者が将来のリスクを告知しないで加入する逆選択の問題が挙げられる。各国が発症前検査の生命保険の利用について規制をつくっているが、日本では規制が存在せず、保険業界の議論も進んでいない。そこで、遅れてしまった日本で議論を進めるためには、海外の参考になる事例を明らかにすることとステークホルダーたる日本の生命保険業界・会社員の発症前検査に関する知識・考えなどの現状を明らかにするこが必要と考える。このことを研究の目的とする。海外の事例として英国のモラトリアム協定制定までの経緯について文献調査を実施、日本の現状把握については生保研修会参加者に対する事前アンケート調査を実施した。前回の公共政策セミナーの発表後に英国保険協会のヒアリングと日本の生命保険社員へのヒアリングを実施したので、その結果も加えて報告する。 

◆発表者2:永井 亜貴子(東京大学医科学研究所 公共政策研究分野 特任助教)

◆タイトル:がん遺伝子パネル検査に対する患者・市民の態度

◆要約:がん組織の遺伝子を一括して網羅的に調べるがん遺伝子パネル検査は、がんの治療方針の決定において有用とされ、医療への応用が急速に進んでいる。日本では、2018年2月に「がんゲノム医療中核拠点病院」が指定され、4月にがん遺伝子パネル検査が先進医療として承認されるなど、がんゲノム医療の推進に向けた体制整備が進められている。海外では、がん患者を対象とした調査がいくつか報告されているが、日本のがん患者や市民のがん遺伝子パネル検査に対する態度は明らかではない。
 こうした背景の下、がん患者およびがん患者の家族と市民を対象として、がん遺伝子パネル検査に関するインターネット調査を実施した。本報告では、特に、がん遺伝子パネル検査の認知度や同検査に関する期待や懸念などに関する結果について紹介します。

 

 

2018年度第5回公共政策セミナー

2018/10/31

本日、2018年度、第5回目の公共政策セミナーが開かれました。 
内容は以下の通りです。 

◆日時:2018年10月31日(水)13時30分~16時00分

◆発表者1:小林智穂子(大学院学際情報学府 文化・人間情報学コース 博士後期課程)

◆タイトル:公共の福祉におけるプロボノ活用の領域

◆要旨:最近関わっている事業事例と近況のご報告をいたします。

 

◆発表者2:船橋亜希子(東京大学医科学研究所 公共政策研究分野 特任研究員)

◆タイトル:ドイツ遺伝子診断法について

◆要旨:現在検討中のドイツ遺伝子診断法について、その成立過程と現在の規制内容を中心にご報告させていただきます。

 

 

2018年度第4回公共政策セミナー

2018/09/19

本日、2018年度、第4回目の公共政策セミナーが開かれました。 
内容は以下の通りです。 

◆日時:2018年9月19日(水)13時30分~16時00分

◆発表者1:内山正登(大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻 博士後期課程)

◆タイトル:ヒト受精卵へのゲノム編集に関する啓発プログラムの実施に向けて

◆要旨:ヒト受精卵へのゲノム編集の利用に関する議論は、専門家だけでなく一般市民も巻き込んだ幅広い議論の必要性が指摘されている。このような先端科学技術の利用の是非に関する議論への一般市民の参加には、科学技術の理解だけでなく、この技術が社会に与える影響まで考え、意思決定することのできる機会としての啓発プログラムを開発する必要性があると考えている。そこで、2018年5月に一般市民を対象として、ゲノム編集に関する認知度や理解度、さらに啓発プログラムの内容に関する意識調査を行った。さらに、一般市民のゲノム編集に関する態度を決定する要因を明らかにするため、この技術を享受する可能性がある若年層を対象としたフォーカス・グループ・インタビューを実施した。今回は、2年間の意識調査の比較の結果、および一般市民の啓発プログラムへの態度について報告する。

◆発表者2:李怡然(大学院学際情報学府 文化・人間情報学コース 博士後期課程)

◆タイトル:遺伝性疾患のリスク告知のモデル化の試み

◆要旨:遺伝性疾患の患者・血縁者が、家族内で遺伝学的リスクに関する情報を共有することは、伝える相手にとっての遺伝学的検査の受検の選択、疾患の早期発見や予防行動、人生の様々な選択のためにも重要とされ、医療者から推奨される傾向が強まっている。この家族内での情報共有のフローを、本研究では「リスク告知」という概念で示す。
リスク告知に関して、主に海外を中心に調査が行われ、伝える側の意思決定や告知の方法、伝えられる血縁者側の受け止め方など、複数の局面に焦点が当てられてきたものの、体系的な研究枠組みが示されていない。そこで、本研究では、先行研究の知見を整理するとともに、遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)の患者・家族を対象とするインタビュー調査のデータをもとに、リスク告知のプロセスを俯瞰するモデル図を提示することを試みる
本報告では、執筆中の論文の内容の一部について紹介する。

 

 

2018年度第3回公共政策セミナー

2018/07/11

本日、2018年度、第3回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。

◆日時:2018年7月11日(水)13時30分~16時00分

◆発表者1:飯田寛(大学院学際情報学府 文化・人間情報学コース 修士課程)

◆タイトル:発症前検査の影響-生命保険

◆要旨:修士論文中間発表会を控えて現在取り組んでいる研究(発症前検査の影響‐生命保険)の背景・目的・方法・調査内容・考察・研究の限界について報告する。発症前検査の進展・普及が生命保険に影響することとしてアットリスクの状態の方及び血縁者が保険に入れないという遺伝差別の問題、アットリスクの加入者が将来のリスクを告知しないで加入する逆選択の問題が挙げられる。各国が発症前検査の生命保険の利用について規制をつくっているが、日本では規制が存在せず、保険業界の議論も進んでいない。そこで、遅れてしまった日本で議論を進めるためには、海外の参考になる事例を明らかにすることとステークホルダーたる日本の生命保険業界・会社員の発症前検査に関する知識・考えなどの現状を明らかにするこが必要と考える。このことを研究の目的とする。海外の事例として英国のモラトリアム協定制定までの経緯について文献調査を実施。日本の現状把握については生保研修会参加者に対する事前アンケート調査を実施。調査結果とそこから得られる考察と今後の予定について報告する。


◆発表者2:菅原風我(大学院学際情報学府 文化・人間情報学コース 修士課程)

◆タイトル:iPS細胞研究をめぐる難病患者たちの「政治」

◆要旨:本報告は、主に二つの内容について報告する。
まず、2000年代初頭から注目を集めた医療人類学・社会学の議論である「生物学的市民権」に関する文献調査の結果について報告する。報告の後半では、この概念を踏まえて、本邦におけるiPS細胞研究をめぐる難病の患者の積極的な参加や参画を捉えなおし、修士論文の今後の研究計画についてお話しする。

 

 

2018年度第2回公共政策セミナー

2018/06/13

本日、2018年度、第2回目の公共政策セミナーが開かれました。 
内容は以下の通りです。 

◆日時:2018年6月13日(水)13時30分~16時00分

◆発表者1:高嶋佳代(東京大学医科学研究所 公共政策研究分野 特任研究員)

◆タイトル:臨床研究参加体験をsocial mediaに投稿する事の倫理的懸念

◆要旨:臨床研究に関わるSocial mediaの活用は、研究対象者のリクルートや、日々進歩する研究分野におけるpublic engagementやアウトリーチ活動等に有用と考えられている。他方、研究参加者が参加経験をsocial mediaに投稿する事により、臨床研究の結果に影響を及ぼすようなバイアスがかかる可能性への懸念も指摘されている。そこで本発表では、研究参加者が参加経験をsocial mediaに投稿する事による問題点を提示し、その対応について考察する。


◆発表者2:神里彩子(東京大学医科学研究所 生命倫理研究分野 准教授)

◆タイトル:動物性集合胚研究をめぐる指針改正の動向

◆要旨:現在、「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律施行規則」及び「特定胚の取扱いに関する指針」の改正案がパブリックコメントに付されています(6月28日まで)。
これは、動物性集合胚研究の取扱いに関する文部科学省内での議論を受けたもので、これまでの動物性集合胚研究の政策から大きな方針転換を示す内容となっています。
セミナーでは、この議論に関わってきた身として考えてきたこと、又、考えていただきたいことについてお話ししたいと思います。

 

 

2018年度第1回公共政策セミナー

2018/05/09

本日、2018年度、第1回目の公共政策セミナーが開かれました。 
内容は以下の通りです。 

◆日時:2018年5月9日(水)13時30分~16時00分

◆発表者1:楠瀬まゆみ(理化学研究所 科技ハブ産連本部 医科学イノベーションハブ推進プログラム 上級技師)

◆タイトル:医科学イノベーションハブ推進プロジェクト紹介

◆要旨:医科学イノベーションハブ推進プロジェクトは、各共同研究機関からヒト疾患に関する様々なデータを取得し、人工知能を用いた解析によって疾患についての理解を進め、患者さんの状態を細く分類することによって個別化医療の実現を目指すというものである。報告者は、昨年12月より同プロジェクトに参加する機会を得た。本報告では、同プロジェクトの概要を紹介するとともに、そこから見えてきた倫理的課題について報告する。


◆発表者2:井上悠輔(東京大学医科学研究所 公共政策研究分野 准教授)

◆タイトル:先住民族の人類学標本とrepatriationをめぐる議論

◆要旨:日本では議論されることが少なかったが(とはいえ、一部の関係者にとっては長い議論の経過があるが)、先住民族からの人類学標本をめぐる議論は、科学の世界では国際的に一つのトピックであり続けてきた。これらは、人体の研究の対象・手段として最も古典的なものである一方、各国の医学関連の法規や倫理規程での位置づけは定まらないままであった。とはいえ、研究対象のフロンティアとして人体が注目される今日、また新たな解析手法が発展する中において、これらの標本は改めて注目される話題となっている。本発表では、イギリスをはじめとする、いくつかの国際的な議論の展開を踏まえつつ、日本国内の近年の議論への論点を提示する。

 

 

2017年度第9回公共政策セミナー

2018/03/07

本日、2017年度、第9回目の公共政策セミナーが開かれました。 
内容は以下の通りです。 

◆日時:2018年3月7日(水)13時30分~16時00分

◆発表者1:飯田寛(大学院学際情報学府 文化・人間情報学コース 修士課程)

◆タイトル:研究計画案(遺伝学的検査の影響‐生命保険)

◆要旨:一年の振返りと遺伝学的検査の進展が生命保険に影響することについての他国、日本の状況を調査する修士論文の研究計画案(研究の背景・目的・方法)について報告する。


◆発表者2:菅原風我(大学院学際情報学府 文化・人間情報学コース 修士課程)

◆タイトル:患者団体の研究へのアクセスの現状と課題

◆要旨:本報告では、主に①一年間の活動状況の紹介、②修士論文の研究計画、③今後の予定についてお話しする。報告者は、近年、日本の患者団体が「iPS細胞」研究、具体的には「疾患特異的iPS細胞研究」に積極的に関与している現状を体系的に理解したいと考えている。「疾患特異的iPS細胞」は、病態解明や創薬に大きく寄与することが予想され、これまで発病機構や治療法が確立されていない「難病」の患者団体にとって大きな関心を集めているが、それらの現状が「患者団体の研究へのアクセス」という観点から十分に明らかにされているとは言い難い。
 1990年代以降、稀少疾患の患者団体を中心に自身の生物試料やデータ、あるいは、研究に伴うリスクを負うことを研究や政治に参画する「手段」として用いる事例がアメリカを中心に報告されるようになったが、報告者はこうした現状と近年の日本の現状が相似していると考えている。また、科学技術社会論、医療人類学、医療社会学の研究者たちは、上記のような患者団体が「研究へのアクセス」を求めるという活動の変遷を体系的に理解するために、①Biosociality(Rabinow 1992)、②Biological Citizenship (Rose and Novas 2004)、③Embodied Health Movements (Brown et al. 2004)という概念を提出した。報告者も難病の患者団体を中心とした研究への関与理解するためにこれらの議論を参照する必要があると考えている。しかし、多様なテーマから成るこの研究群を報告者自身が十分に扱えきれているとは言い難く、また、先日、行った予備調査の結果を研究に活かしきれていないという現状がある。

 

 
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