IMSUT
Menu
ホーム
研究室の紹介
メンバー紹介
著作物リスト
大学院進学について
お知らせ
リンク集
研究室へのアクセス
ENGLISH
お問い合わせ
IMSUT ORE
BARRIER FREE
東京大学医科学研究所公共政策研究分野

文字の大きさ フォントサイズを大きく フォントサイズを小さく

ページ | << | 1 | 2 | 3 | >> |  / 全57件 3ページ

2017年度第2回公共政策セミナー

2017/06/21

本日、2017年度、第2回目の公共政策セミナーが開かれました。 
内容は以下の通りです。 

◆日時:2017年6月21日(水)13時30分~16時00分

◆発表者1:船橋亜希子(東京大学医科学研究所公共政策研究分野 特任研究員)

◆タイトル:医療過誤と刑事過失

◆要旨:「医療の萎縮」を招いたとされる福島県立大野病院事件を契機として、医療過誤事案に対する刑事責任追及のあり方が問題視されてきました。この問題の解決のために、医療現場への刑事介入の制限や、医療事故調査制度に一縷の望みを託すような論考に触れる機会も増えています。しかし、報告者は刑事過失論の精緻化こそが必要であると考えて研究を続けてきました。今回の報告では、刑法の基本的な原理等もご紹介しながら、現在までに行ってきた研究の一部をご紹介させていただきます。

◆発表者2:内山正登(大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻 博士後期課程2年)

◆タイトル:ヒト受精胚へのゲノム編集に関する意識調査

◆要旨:ゲノム編集は簡便性や応用性から、生命科学研究や医療において多くの可能性が考えられている技術である。その一方で、2015年に中国のチームがヒト受精胚に対するゲノム編集を行った研究を発表して以降、ヒト受精胚に対するゲノム編集の是非に関する議論が活発になった。特にこの技術が様々な分野への影響が考えられることから、専門家だけでなく、一般市民も巻き込んだ幅広い議論の必要性が指摘されている。そこで、一般市民がこの技術の利用についてどのように考えているかを明らかにするため、2017年2月~3月に一般市民44,360人と患者6,522人を対象とした意識調査を実施した。今回の意識調査では、ゲノム編集に関する認知度や技術の理解度、ヒト受精胚への技術の許容性、リスク評価について調査した。現在、今回の調査結果をもとに論文を作成しており、調査の結果とともに論文の内容について発表する。

 

 

2017年度第1回公共政策セミナー

2017/05/10

本日、2017年度、第1回目の公共政策セミナーが開かれました。 
内容は以下の通りです。 

◆日時:2017年5月10日(水)13時30分~16時00分

◆発表者1:小林 智穂子(大学院学際情報学府 文化・人間情報学コース 博士課程)

◆タイトル:シニアの社会参加阻害要因の把握と促進のための実践研究

◆要旨:平成29年度笹川科学研究助成(実践研究部門)として実施予定の研究について計画(案)を報告します。目的と内容は、次の通りです。
団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)となり、国民の3人に1人が65歳以上となる2025年(いわゆる、2025年問題)に向けて、様々な高齢社会対策が講じられている。なかでも、退職後のシニアの社会参加活動は、本人の介護予防や、福祉の支え手の充足両方をもたらすものとして注目されている。しかし、特に都心部において現役時代を企業勤務で過ごした人々にとって、退職後地域社会と適応し、役割を見つけて「参加」に至るのは円滑ではないようである。そこで、シニアが社会参加活動を始める際の障壁を特定し、克服しうる準備とは何かを明らかにしたい。本研究では、阻害要因の把握を目的としたヒアリングと、ヒアリング結果を活用した、シニアの社会参加促進を目的とした実践としてのワークショップを行う予定である。


◆発表者2:李 怡然(大学院学際情報学府 文化・人間情報学コース 博士課程)

◆タイトル:遺伝性疾患のリスクの告知をめぐる現状と課題に関する考察

◆要旨:晩発性の遺伝性疾患の発病リスクを子に告知することは、本人が人生の様々な選択をする上で、重要とされている。しかし、遺伝性疾患の患者や家族は、病気に対するスティグマや保険・雇用・婚姻等における差別への恐れなどから、子への告知には困難を伴うとされてきた。近年、ゲノム医療の急速な進展により、これまで難治性とされてきた疾患の治療や研究参加の選択肢が広がり、告知の早期化が促される状況にある。加えて、臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラー等の専門家の養成、少子化に伴う家族形態の変容、若年世代がアクセス可能な情報環境の充実といった、当事者をとりまく関係性の変化が著しい時代を迎えつつある。本研究は、こうした医学研究の環境や社会の変化を踏まえて、親にとっての発病リスクの告知の意図や経験、子にとっての受け止め方を問うことで、遺伝性疾患当事者のリスクの告知の現代的な様相と課題を明らかにすることを目的とする。
今回のセミナーでは、博士論文の研究計画構想について、背景の整理とインタビュー調査の計画を中心に報告する。

 

 

第13回公共政策セミナー

2017/03/01

本日、2016年度、第13回目の公共政策セミナーが開かれました。 
内容は以下の通りです。 

◆日時:2017年3月1日(水)13時30分~16時00分

◆発表者:武藤香織(東京大学医科学研究所 公共政策研究分野 教授)

◆タイトル:社会における個人遺伝情報利用の実態とゲノムリテラシーに関する調査研究班の経緯について

◆要旨:近年、諸外国に大きく遅れをとりつつ、日本ではゲノム医療を実現するための施策作りが本格化している。遺伝学的検査項目の保険収載を増進するための議論や専門人材育成と並んで、遺伝情報の利活用と保護に関する施策の検討が開始された。昨年採択された厚生労働特別研究では、一般市民を対象とした遺伝情報の利活用に関する懸念と被差別実態を明らかにするための調査を実施しているほか、遺伝性疾患や障害の当事者からのヒアリングを試行している。本報告では「遺伝情報に基づく差別」の定義の再検討と、一般市民意識調査結果の速報と課題について報告する。

 

 

第12回公共政策セミナー

2017/02/01

本日、2016年度、第12回目の公共政策セミナーが開かれました。 
内容は以下の通りです。 

◆日時:2017年2月1日(水)13時00分~16時30分

◆発表者1:内山正登(大学院新領域創成科学研究科 博士後期課程1年)

◆タイトル:ヒト受精胚へのゲノム編集に関する国際的議論の現状と意識調査に向けた取り組み

◆要旨:ゲノム編集は、技術の簡便性や応用性から生命科学研究や医療において多くの可能性が考えられる技術である。その一方で、2015年に中国のチームがヒト受精胚へのゲノム編集を行った研究を発表して以降、ヒト受精胚に対するゲノム編集の是非に関する議論が活発になった。2015年12月に米国でヒトゲノム編集国際サミット(International Summit on Human Gene Editing)が開催され、世界各国の生命科学者や医療者、生命倫理学者によってゲノム編集の是非について議論され、最終的に声明(On Human Gene Editing : International  Summit Statement)がまとめられた。このような国際的な議論を受け、2016年4月に内閣府総合科学技術・イノベーション会議生命倫理専門調査会は、日本におけるヒト受精胚へのゲノム編集の取り扱いに関して、「ヒト受精胚へのゲノム編集技術を用いる研究について(中間まとめ)」を発表した。この中間まとめの中では、基礎研究におけるヒト受精胚へのゲノム編集について容認される場合があるとした一方、臨床利用することについては容認しないとしている。また、今後も様々な立場の人が議論に参加し、社会的な議論を重ねる必要性が述べられている。本発表では、ゲノム編集技術の開発以降のヒト受精胚へのゲノム編集技術を用いる研究に関する国際的な議論と日本国内での議論について整理する。また、ゲノム編集に関する社会的な議論を活性化するために日本科学未来館と共同で開発したゲノム編集に関するワークショップについて報告するとともに、高校生を対象にワークショップを実施した際に、高校生がゲノム編集に対してどのような意見を持っているのかを調べた結果を報告する。また、今後検討しているゲノム編集に関する一般市民の意識調査に関して説明する。


◆発表者2:洪賢秀(東京大学医科学研究所公共政策研究分野 特任助教)

◆タイトル:韓国社会におけるDTC遺伝子検査サービスに関する規制の変化とその諸課題

◆要旨:韓国では、遺伝子検査*を実施する機関は、「生命倫理および安全に関する法律(以下、「生命倫理安全法」とする)」に基づき、保健福祉部長官に申告をしなければならない(法第49条第1項)。また、人胚または胎児を対象とした遺伝子検査や科学的根拠が不確実で検査対象者を誤導する恐れのある遺伝子検査は、制限もしくは禁止(法第50条第1項、施行令第20条)され、世界でも厳しいルールが適用された。このような遺伝子検査に関する規制は、遺伝子検査解析技術の進展に伴い見直しをすることを前提となっていた。実際、生命倫理安全法施行後に、医療機関側と非医療機関側の両方から遺伝子検査の規制の矛盾について指摘されるようになり、規制の見直しに向けての議論が行われた。2015年12月に、生命倫理安全法改正が行われ、疾患リスクの予測を目的として遺伝子検査サービス(DTC検査)の一部を企業が実施することが可能となった。本報告では、生命倫理安全法改正の前後における遺伝子検査の規制をめぐる議論に着目し、論点となっていた①遺伝子検査の医療行為の是非、②遺伝子検査の結果返却、③遺伝カウンセリングの体制などが、改正法のなかでどのように位置づけられたのか、また積み残されて課題とは何かについて考察する。
*本報告における「遺伝子検査」とは、「生命倫理安全法」第2条の定義による「人体由来物から遺伝情報を得る行為で、個人識別または疾病の予防・診断・治療等のために行う検査」を指す。

 

 

第11回公共政策セミナー

2017/01/25

本日、2016年度、第11回目の公共政策セミナーが開かれました。 
内容は以下の通りです。 

◆日時:2017年1月25日(水)14時00分~16時30分

◆発表者1:佐藤桃子(大学院学際情報学府 文化・人間情報学コース 修士課程)

◆タイトル:修士論文口頭試問予演

◆要旨:出生前遺伝学的検査は多くの生命倫理学上の問題を提起してきたが、指摘された問題が検査の実施にどのように反映されてきたかを問う、ガバナンス分析の視点は不足してきた。本研究では、1990年代に登場した母体血清マーカー検査と、2010年代に登場したNIPT(非侵襲的出生前遺伝学的検査)を事例に、検査を国内でどのように実施するかを決めたガバナンスの構築過程を追い、行政や関連学会が何を目指した検査実施体制を作ってきたかという変遷を明らかにした。本発表は、2月に予定されている学際情報学府修士論文の口述審査のドラフトを元にしている。

◆発表者2:藤澤空見子(大学院学際情報学府 文化・人間情報学コース 修士課程)

◆タイトル:修士論文口頭試問予演

◆要旨:科学/技術は、その発展とともに社会の様々な領域で活用されるようになった。科学技術社会論の領域では、科学/技術の歴史的背景や専門知の特性をふまえ、種々の科学/技術の利用に関する意思決定について議論を重ねてきた。しかし、科学/技術を個人が利用する際の意思決定に関する議論はあまり蓄積されておらず、また、医療という話題もあまり取りあげられてこなかった。そこで本研究では、医療の中でも出生前遺伝学的検査に着目し、医療者からの情報提供や心理支援を通じて来談者が意思決定を行う遺伝カウンセリングを題材として取りあげる。本邦は遺伝カウンセリング提供体制の基盤構築を目指す段階にあり、本研究の第一の目的は今日の遺伝カウンセリング提供体制を明らかにすることにある。そして第二の目的は、遺伝カウンセリングを専門家(医療者)と非専門家(一般市民)がコミュニケーションを行う場として捉え、かつ遺伝カウンセリング担当者である認定遺伝カウンセラーを専門家と捉え、認定遺伝カウンセラーが遺伝カウンセリングの中で科学的知識をどのように位置付けているのかを明らかにすることである。
 本研究では、周産期医療に携わる認定遺伝カウンセラーを対象に質問紙調査とインタビュー調査を行った。調査からは、今日の遺伝カウンセリングは施設により異なる体制で提供されていること、そして、認定遺伝カウンセラーは科学的知識をクライエントの意思決定のための一要素でしかないと見なしており、クライエントに必ずしも科学的知識の理解を求めていないことが明らかとなった。同時に、遺伝カウンセリングの要素として語られる情報提供と心理支援は実際は分けがたく、むしろ科学的知識の提供は心理支援に内包されうるということも示唆された
 本研究を通じて、質のばらつきという今日の遺伝カウンセリング提供体制が抱える課題が具体的な現場の声とともにわかったことを踏まえ、今後は全国的な調査を通じて遺伝カウンセリング提供の実態を把握することが望まれる。そして、クライエントに向き合う時間の確保のために一定の時間枠を設けることを規定することも1つの対策として考えられる。また、科学技術社会論においては、科学的知識は絶対性な位置付けから科学/技術の社会的受容意識を構成する1要素にしかすぎないという位置付けへと大きく認識が転換してきたという歴史的背景があり、今回の調査からわかった科学的知識を意思決定の材料として見なす認定遺伝カウンセラーの姿勢は、今日科学技術社会論で指摘される内容と通じていた。

 

 

第10回公共政策セミナー

2017/01/11

本日、2016年度、第10回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。

◆日時:2017年1月11日(水) 13時30分~16時00分

◆発表者1:李怡然(大学院学際情報学府 文化・人間情報学コース 博士課程)

◆タイトル:遺伝性疾患をもつ患者・家族の子へのリスクの告知

◆要旨:常染色体優性遺伝の遺伝性疾患は、子に50%の確率で遺伝する病気であり、患者・家族はスティグマや遺伝差別の恐れに直面してきた歴史がある。子にリスクの告知=病気について伝えることは、将来の遺伝子検査の受検、就職・結婚・出産など人生のさまざまな選択を行う上での出発点となるが、親は子への告知に困難を抱えるとされている。国外では早期の告知が推奨され、親の告知の選択や、告知を促進/阻害する要因について考察がなされてきた。しかし、親の語り方と、子の受け止め方や行動に与える影響の考察は十分でなく、日本における研究は極めて少ない。本研究は、遺伝性疾患をもつ患者・家族へのインタビュー調査を通して、親の子への告知の態度と語り方、子にとっての受け止め方や作用を明らかにすることで、日本における告知の現状と課題を検討することを目的とする。

 

◆発表者2:吉田幸恵(東京大学医科学研究所公共政策研究分野 特任研究員)

◆タイトル:がん患者にとっての臨床試験参加の意味——患者インタビューから

◆要旨:臨床試験は(治験を含む)、新たな医療開発や適応拡大のために実施される行為であり、患者本人のための治療とは異なります。しかしながら、患者(試験参加候補者)は試験を自分のための治療だと思い込んでしまうことが多々あり、それを「治療との誤解」 (therapeutic_misconception)と呼び、この状態は倫理上避けるべきであるとして、試験実施側はこの状態が生じてしまわぬようICの際に丁寧でわかりやすい説明努力をおこなっています。わたしたちは臨床試験関与経験のある患者へのインタビューを実施し、治療の現場で実施される臨床試験において、治療と試験(研究)の区別は困難であり、ICの場は説明に納得し参加するかどうかを判断する場ではなく、あくまで手続きの場として作用しているという実態があることを明らかにしていますが(「臨床薬理」採択済)、このようななか、説明自体理解し、臨床試験の本質を理解してはいるものの、それでも治療として参加を決める患者が多くいることも明らかになりました。今回は特にそのような状態であった、がん患者(13名)の語りから、臨床試験のなかでがん患者が置かれた状況を明らかにするとともに、がん患者にとっての臨床試験参加の意味を考えたいと思います。

 

 

2016年度第9回公共政策セミナー

2016/11/30

本日、2016年度、第9回目の公共政策セミナーが開かれました。
オーストラリアより、特別ゲストをお迎えしてお話を頂きました。
内容は以下の通りです。

◆日時:2016年11月30日(水) 14時00分~16時00分

◆発表者:Nola Ries (School of Law, University of Newcastle, Australia, Associate Professor)

◆タイトル:Australia-Japan Emerging Research Leaders Exchange Program

 

 

2016年度第8回公共政策セミナー

2016/11/25

本日、2016年度、第8回目の公共政策セミナーが開かれました。
今回は、特別ゲストをお迎えしてお話を頂きました。
内容は以下の通りです。

◆日時:2016年11月25日(金) 14時00分~16時00分

◆発表者:櫻井晃洋(札幌医科大学医学部遺伝医学 教授)

◆タイトル:日本人類遺伝学会教育推進委員会と日本遺伝カウンセリング学会遺伝教育委員会が取り組んできたこと

 

 

2016年度第7回公共政策セミナー

2016/11/01

本日、2016年度、第7回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。

◆日時:2016年11月1日(火) 14時30分~16時00分

◆発表者1:藤澤空見子(大学院学際情報学府 文化・人間情報学コース 修士課程)

◆タイトル:遺伝カウンセリングにおける科学的知識の位置づけー非侵襲的出生前遺伝学的検査を中心にー

◆要旨:遺伝カウンセリングは情報提供と心理支援をもとに、クライエントの意思決定を支援していくプロセスである。このプロセスの中で、情報提供(特に遺伝学などに関する科学的知識)はどのような位置付けにあるのだろうか。
 この疑問を明らかにするため、本邦の認定遺伝カウンセラーを対象にweb上のアンケート調査と半構造化面接を行った。その結果、遺伝カウンセリングの目的は「その人なりの理解」をもとに意思決定を行うことであり、提供する情報量の凸凹や情報の完全な理解はあまり重要視されていないことがわかった。あくまでも判断材料としての情報提供であり、情報提供は心理支援の中に包括されるという位置付けで認識されていた。また、この位置付けに関する認識は、調査の中で明らかになった、遺伝カウンセリング提供体制の施設ごとのばらつきとも関わりがあることが示唆された。さらに、心理支援に包括される情報提供という構図は、特に電話対応においてその特徴が見いだされる可能性があることもわかった。
 遺伝カウンセリングにおいて、提供する情報の完全な理解や納得に至ることがゴールではなく、判断材料としてクライエントに扱ってもらうことが情報提供側の意図するところであった。その先の意思決定はクライエントの多様な価値判断に委ねられ、過程に応じて情報の補填や心理支援が行われる。認定遺伝カウンセラーはクライエントに寄り添い、彼らの意思決定のときにそばにいる存在であるが、また一方で、網羅的に情報の整理や確認ができるクライエントにとって効率的な存在でもあると言えるだろう。


◆発表者2:佐藤桃子(大学院学際情報学府 文化・人間情報学コース 修士課程)

◆タイトル:出生前遺伝学的検査のガバナンスの変遷

◆要旨:胎児の染色体異常の一部を出生前に検出する出生前遺伝学的検査の技術は、より母体への負担を減らし、精度を上げる方向で技術革新がなされてきた一方で、倫理的問題も提起してきた。倫理的問題に対応した規制と実践が試みられてきたが、1990年代に登場した母体血清マーカー検査と、2010年代に登場した非侵襲的出生前遺伝学的検査(NIPT)では、ガバナンスのあり方が大きく異なる。
本研究では、母体血清マーカー検査とNIPTのガバナンスのにおける、専門家の視点を検討する。具体的には、それぞれの検査を規制している見解や指針の議事録を中心に国内外の文献を検討し、産婦人科医を中心とする専門家が果たしてきた役割や、検査技術への期待・懸念などを明らかにすることで、今後の技術のガバナンスに知見を提供する。

 

 

2016年度第6回公共政策セミナー

2016/10/05

本日、2016年度、第6回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。

◆日時:2016年10月5日(水) 13時00分~16時00分

◆発表者1:中田はる佳(東京大学医科学研究所公共政策研究分野 特任研究員)

◆タイトル:マンスフィールド-PhRMA研究者プログラム 2016参加報告

◆要旨:モーリーン・アンド・マイク・マンスフィールド財団は、日本の医薬品開発に携わる研究者を対象として、米国におけるトランスレーショナルリサーチ、保健医療政策、医薬品研究開発、レギュラトリーサイエンスの分野で学ぶ「マンスフィールド-PhRMA研究者プログラム」を提供している。今回、9月11日から23日の2週間、本プログラムに参加してきたのでその内容を報告する。


◆発表者2:高嶋佳代(東京大学医科学研究所公共政策研究分野 特任研究員)

◆タイトル:患者・市民主導の医学研究がもたらす倫理的課題

◆要旨:本報告の目的は、研究者主導の医学研究に対して、患者や市民が研究参加者として参加もしくは参画するのではなく、研究のある局面を患者や市民が主導するという研究へのアプローチに関して、概念整理を行った上で、それぞれの倫理的課題を明らかにすることである。
この数十年にわたり、当事者のニーズに即した医学研究を促進することの重要性が、特に欧米において政策面もしくは患者会などから着目されてきた。このような流れのなかで、研究に関わる当事者のニーズを検討するために、研究者主導研究に研究対象者として参加する立場であった患者や市民に対して、研究のあらゆる過程に参画することが促進されてきている。本報告で着目するのは、さらなる別の動きとして、患者や市民が医学研究に必要なリソースの確保や研究計画の立案、研究の実施など、研究のさまざまな局面の一部または複数部分を主導するというアプローチについてである。支援団体からの研究資金支援などは従来から行われてはいたものの、近年このようなアプローチが注目されるようになってきた背景として、クラウドソーシングやソーシャルネットワーク、プラットフォームといったITツールの普及の影響が大きいと考えられている。くわえて、研究に興味を持つ市民に対して研究支援を行うボランティア組織や、スマートフォン等を活用した研究が促進されている中で、本アプローチは広く普及していく可能性を秘めているといえよう。
しかしながら、このようなアプローチに関する倫理面での先行研究は、これらのアプローチを事例として紹介しつつも、十分に概念整理がなされないまま倫理的課題を検討するにとどまっている。
そこで本報告では、まず患者・市民主導の医学研究がもたらす倫理的課題を明らかにするために、これらのアプローチが3つに区別できることを示す。すなわち、資金調達を担うものと、研究参加者のリクルートを担うもの、そして研究計画の立案や実施などを担うものである。さらに、従来の研究者主導の医学研究とは異なる倫理的課題が、それぞれの区分によって異なる論点で示されることを提示する。

 

 

2016年度第5回公共政策セミナー

2016/09/28

本日、2016年度、第5回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。

◆日時:2016年9月28日(水) 13時00分~16時00分

◆発表者1:神里彩子(東京大学医科学研究所研究倫理支援室/公共政策研究分野 特任准教授)

◆タイトル:動物性集合胚をめぐる倫理的・法的・社会的課題(ELSI)と現状

◆要旨:特定の臓器を作れないように遺伝子操作した動物胚にヒトの多能性幹細胞を注入して「ヒトと動物のキメラ胚(動物性集合胚)」を作製する研究が、医科研の研究者を中心に行われています。この研究の最終的なゴールは、動物性集合胚を動物胎内に移植してヒトの臓器を持つ動物個体を産出し、以て、移植用臓器不足の解消につなげることです。しかしながら、我が国では、「特定胚指針」により、動物性集合胚を動物の胎内に移植することは禁じられています。そのため、研究者からの要望を受けて、同指針の改正についての検討が開始され、2013年には生命倫理専門調査会が規制緩和の方針を示す「動物性集合胚を用いた研究の取扱いについて」を公表しました。これを受けて文部科学省では、科学的観点、倫理的・社会的観点から指針改正についての検討が進められています。本セミナー報告では、動物性集合胚等に関する海外の規制状況や動向、また、日本の規制状況と今後の課題等を紹介させていただき、今後の在り方について皆さんと考えていきたいと思います。


◆発表者2:高島響子(東京大学医科学研究所公共政策研究分野 特任研究員)

◆タイトル:Ethical concerns on sharing WES/WGS data of patients’ relatives in cancer genome research

◆要旨:がんは遺伝子の異常によって起きる疾患であり、その解明や診断・治療法開発のために、患者の試料を用いたゲノム研究が数多く実施されている。とりわけ近年、次世代シークエンサーを用いた全ゲノム・エクソームを対象とする網羅的解析が盛んだ。このようながんゲノム研究においては、患者のゲノムデータと比較するために、患者家系員のゲノムデータの解析が重要な場合がある。遺伝研究・家系研究では古くより、患者のみならずその家族に対する研究上の配慮や倫理的問題が指摘され検討されてきた。しかし今、これまでにはなかった新たな課題として、研究で用いたゲノムデータのデータベースへの公開、他者との共有が家族に与える影響があげられる。研究資源の有効活用、研究重複の回避、透明性・トレーサビリティ・再現性の保証等を目的に、研究で得られた/使用されたデータをデータベースで公開し共有する動きが国際的に加速している。家族性疾患のような症例数は少ない研究では、データを共有することで解析にたえうる一定の対象者数を確保しより頑強なエビデンスを得るための研究が可能となる。全ゲノム・エクソームデータもその例外ではない。ゲノムデータの公開・共有における研究対象者への配慮については様々に指摘され措置がなされてきたが、これまでのそうした議論において、家系員のデータ公開に触れらてれてはいない。本稿では、研究で用いられた家系員の全ゲノム・エクソームデータを公開・共有する際に配慮すべき倫理的課題を指摘し、対処法を提案する。

 

 

2016年度第4回公共政策セミナー

2016/07/12

本日、2016年度、第4回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。

◆日時:2016年7月12日(火) 13時30分~16時00分

◆発表者1:張有沙(大学院学際情報学府文化・人間情報学コース 修士課程1年)

◆タイトル:Brain-computer/machine interface(BCI/BMI)に関する倫理的議論の背景と現状

◆要旨:1973年にBCI/BMIは発案され、人工内耳・人工視覚などの人工感覚器への活用から、義手・義足などの人工四肢への活用へと開発が進んだ。また、近年はリハビリテーションに活用する研究が進められており、今後は意識障害患者とのコミュニケーションへの活用が期待されている。このような活用の変化に伴い、「侵襲性」のみであったBCI/BMIに「非侵襲性」や「軽度侵襲性」という多様性が生まれた。本研究では、運動障害患者や関わる人々に対して多様な選択肢を与えることが予想できるBCI/BMIが、今後臨床現場での活用が進むにつれて既存のリハビリ臨床現場に与える影響を考える。本セミナー報告では、BCI/BMIの歴史的変遷と、それを取り巻いて行われてきた倫理的議論の現状を報告する。また、冒頭で卒業論文の内容を紹介する。


◆発表者2:楠瀬まゆみ(東京大学医科学研究所公共政策研究分野 特任研究員)

◆タイトル:Public attitude toward the creation and utilisation of “Animals Containing Human Material” (ACHM) for organ resources: A new perspective on human-animal chimeras

◆要旨:移植用臓器が慢性的に不足するなか、患者由来のiPS細胞を用いて動物体内でヒト臓器を作製する研究が行われており、ヒトと動物のキメラ個体の作製については、その倫理的、法的、社会的懸念から近年議論が活発化している。我々は、これらの議論に先駆けて2012年2月首都圏在住の一般生活者24名を対象に「人の要素を持つ動物(Animal Containing Human Material: ACHM)」に関する一般市民の意識、および、動物性集合胚研究とその規制への態度について質的調査を実施した。その後、その結果を2015年6月17日に、公共政策セミナーの場をお借りして、論文原稿(英文)を用いて発表させていただき、多くの貴重なご意見をいただいた。今回のセミナーにおいては、前回いただいた意見を反映し、調査結果を「動物個体の扱いや管理、位置付け」の観点から構成し直した論文原稿を用いて、調査結果について発表を行う。

 

 

2016年度第3回公共政策セミナー

2016/06/17

本日、2016年度、第3回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。

◆日時:2016年6月17日(金) 14時00分~16時30分

◆発表者1:礒部太一(北海道医療大学歯学部・大学教育開発センター)

◆タイトル:緩やかな参加:ローカル志向を背景としたコープ札幌と六花亭の事例から

◆要旨:科学技術社会論領域においては、科学技術への市民参加研究の蓄積が進んでいる。その他の専門領域においても、「参加」をキーワードとした取り組みや研究の蓄積が進んでいる状況にある。それらは例えば、医療社会学や医療政策における市民患者参画(Public&Peitient Involovement:PPI)、コミュニティデザイン、社会運動論、社会福祉学におけるボランティア論などである。
 このように様々な領域において議論の進展はあるものの、「参加」のあり方を考える際に重要な点として、それらは社会的・文化的・歴史的な影響を受けざるをえないという側面である。現代日本の「参加」を念頭に置いた場合に考えざるをえない状況としては、東京を中心とした大都市集中のライフスタイルや価値観などが、日本の社会・経済状況などの変容により、その一部はローカル志向へと変遷を辿っている傾向がみられることである。そのような変化に対応して、「参加」のあり方や方法についても変容がみられると考えられる。
 以上を踏まえ、本研究においては、札幌を中心とした北海道地域におけるローカル志向を背景とした「参加」についての2つの事例として「コープ札幌」と「六花亭」を取り上げ、その内実を分析することで各々の事例の特徴を明らかにする。その上で、この2事例の分析から抽出される「緩やかな参加」の概要を提示し、今後の展開可能性を示唆する。

◆発表者2:小林智穂子(大学院学際情報学府文化・人間情報学コース 博士後期課程3年)

◆タイトル:社員による企業ボランティア参加に関する現状と課題

◆要旨:2015年度全労済公募委託研究助成として実施した掲題の調査報告を行う。本調査では、企業ボランティアの現状を把握し、企業ボランティア活動に参加している勤労者がどのような経験をしているのかについて明らかにすることを目的に、「研究a.勤労者の社会貢献活動実施に係る類型化の完成」、および、「研究b.勤労者の社会貢献活動に関する意識の詳細分析」を実施した。aの結果、企業ボランティアの実施態様には、従来から指摘されてきた奨励、促進、後援の他にも、業務命令で実施されているものがみとめられた。また、b.のインタビュー調査からは、企業ボランティアに関わる人々の、企業ボランティアの実践をめぐるニーズや価値観、葛藤などについて実情を記述した。最後に、従業員ボランティアとNPO双方の満足を実現する条件を考察したい。

◆発表者3:張有沙(大学院学際情報学府文化・人間情報学コース 修士課程1年)

◆タイトル:脳卒中運動障害患者の上肢リサーチ運動を評価する

◆要旨:卒業論文についての内容と修士課程での研究関心について報告を行なう。

 

 

2016年度第2回公共政策セミナー

2016/06/08

本日、2016年度、第2回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。

◆日時:2016年6月8日(水) 10時00分~12時30分

◆発表者1:佐藤桃子 (大学院学際情報学府 文化・人間情報学コース修士課程2年)

◆タイトル:非侵襲的出生前遺伝学的検査(NIPT)導入の枠組みの国際的検討

◆要旨:日本において、非侵襲的出生前遺伝学的検査(NIPT)は、臨床検査としてコンソーシアムが取りまとめる形で限定的に実施されている。一方で、アメリカとヨーロッパの多くの国においては、NIPTは検査会社によって商業的に提供されている。しかし、単純に日本が慎重な姿勢を採っているだけであるとは言い切れない。NIPTコンソーシアムは2015年4月に検査対象疾患の拡大の要望を出しており、今後も臨床検査として続くかどうかは分からない状況にある。そこで、今後の実施の枠組みを把握するためにも、専門家がNIPTという技術を倫理的にどのように捉え、出生前検査技術の中でどのように位置づけているかを知るために、NIPT導入に関する日本産科婦人科学会の指針と、ヨーロッパ人類遺伝学会・アメリカ人類遺伝学会共通指針とを比較し、倫理的観点の相違点を明らかにした。同時に、日本で臨床検査という枠組みになった経緯について、産婦人科医にヒアリングを行った。セミナーでは上記2点を中心に発表し、今後修士論文に向けて必要な問題意識を検討する。


◆発表者2:内山正登(大学院新領域創成科学研究科 博士後期課程1年)

◆タイトル:高等学校における遺伝リテラシー教育の実践—NIPTを題材とした教科間連携授業の実践—

◆要旨:平成21年の学習指導要領の改訂に伴い、高等学校生物における遺伝教育は「遺伝のしかた」から「遺伝子とそのはたらき」を重点がおかれるようになった。このような学習内容の変化は、現代の生物学に対応した形となったと言われている。その一方で、従来から指摘されていた「ヒトの遺伝」については扱われていない。また、学習指導要領には日常生活と社会を関連づけることが明記されているが、検定教科書において日常生活を意識した記述は少ない。このような高等学校における教育の現場から、「ヒトの遺伝」について日常生活と関連付けた授業実践を行う必要があると考えた。今回の発表では、国語科と連携した、非侵襲的出生前遺伝学的検査(Non-Invasive Prenatal genetic Test;NIPT)を題材とした授業実践について報告する。また、博士課程における研究計画についても発表する。

 

 

2016年度第1回公共政策セミナー

2016/05/18

本日、2016年度、第1回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。

◆日時:2016年5月18日(水) 13時30分~16時00分

◆発表者1:藤澤空見子(大学院学際情報学府 文化・人間情報学コース修士課程2年)

◆タイトル:非侵襲的出生前遺伝学的検査(Non-Invasive Prenatal genetic Test;NIPT)の遺伝カウンセリングにおける、認定遺伝カウンセラーとクライエントの相互作用

◆要旨:今日、日本ではNIPTの臨床研究と並行して、遺伝カウンセリングの提供体制の基盤作りが進められている。本研究では、遺伝カウンセリングを専門家(医療者)と非専門家(クライエント)のコミュニケーションの場と捉え、両者の間で相互作用的なコミュニケーションが行われているのか、そして行われているのならばどのような内容なのか、という問題関心のもと調査・考察を進めていく。
 今回の発表では、先日行った認定遺伝カウンセラーを対象としたweb上の質問紙調査・インタビュー調査の報告を中心に、新たしく得た考察や今後の展望を報告する。


◆発表者2:李怡然 (大学院学際情報学府 文化・人間情報学コース 博士後期課程1年)

◆タイトル:遺伝性疾患における親から子への「告知」

◆要旨:常染色体優性遺伝の難治性遺伝性疾患をもつ患者や家族は、スティグマや差別による葛藤を抱え、とりわけ親から子にリスクを告知することには大きな困難が伴うとされてきた。しかし、2000年代以降の国際的な患者追跡コホートの構築、ゲノム解析技術の革新、ゲノム編集技術の進展など、当事者をとりまく医学研究の環境は大きく変容を迎えている。このような変化を迎えた現在、家族が告知に関してどのような態度や経験を有し、医師/研究者や遺伝カウンセラーといった専門職が家族の選択にいかなる影響を及ぼしているかについては、十分明らかにされていない。そこで、本研究では、当事者家族および医師、遺伝カウンセラーらに対しインタビュー調査を実施する計画である。
 今回のセミナー発表では、問題背景や先行研究の整理を中心に、博士課程における研究構想の報告を行う。

 

 

2015年度第13回公共政策セミナー

2016/03/03

本日、2015年度、第13回目の公共政策セミナー(ゲスト特別編)が開かれました。
内容は以下の通りです。

◆日時:2016年3月3日(木) 10時00分~12時30分

◆発表者:野々村菜穂(東京大学大学院医学系研究科 公共健康医学専攻(SPH))

◆タイトル:臨床研究に関する認知症患者家族の意識調査

 

 

2015年度第12回公共政策セミナー

2016/03/02

本日、2015年度、第12回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。

◆日時:2016年3月2日(水) 10時00分~12時30分

◆発表者1:高嶋佳代 (東京大学医科学研究所公共政策研究分野 特任研究員)

◆タイトル:眼科疾患における幹細胞臨床研究の倫理的問題

◆要旨:新規治療法開発の実施には、その新規性に特有の問題に着目される傾向がある。例えば、iPS細胞の臨床研究においては、細胞の特性から造腫瘍性が一番の検討事項となっている。それゆえ、はじめてヒトに実施した眼科疾患の研究が、iPS細胞臨床研究全体の安全性の検証のステップとしても、大きな役割を担うこととなった。確かに、眼科領域は観察やアプローチが容易であり、致死的疾患ではないことなどの理由で、細胞治療における新規治療法開発での安全性の検証としては妥当な選択かも知れない。しかしながら、その新規性に注目が大きく集まったが故に、眼科疾患への新規治療法開発を行う上で、着目すべき倫理的課題が影を潜めた可能性がある。
 そこで今回、文献検索、眼科疾患の患者会での議事録などを元に分析を行い、眼科疾患における幹細胞臨床研究の倫理的問題を検討する。


◆発表者2:佐藤桃子 (学際情報学府 文化・人間情報学コース 修士課程)

◆タイトル:ターナー症候群と出生前診断

◆要旨:2015年4月、NIPTコンソーシアムから、NIPT対象疾患の拡大の要望が日本産科婦人科学会に出された。現在はコンソーシアムが当面拡大はしないと述べているが、日本の出生前診断において対象疾患の拡大が議論されたのは初めてであり、この議論は日本の専門家が出生前診断をどう捉えているかを明らかにする契機だと考えられる。
 拡大対象の候補には、臨床的症状は重篤でないものの、不妊の症状を呈することの多い性染色体異常が含まれていた。そこで本発表では、拡大対象の候補となった、女性に多い性染色体異常であるターナー症候群に焦点を当て、その病態と遺伝カウンセリングの現状を紹介し、修士論文に向けた問題意識を明らかにする。

 

 

2015年度第11回公共政策セミナー

2016/02/17

本日、2015年度、第11回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。

◆日時:2016年2月17日(水) 10時00分~12時30分

◆発表者1:永井亜貴子(東京大学医科学研究所公共政策研究分野 特任研究員)

◆タイトル:BBJの生存調査と本人通知制度

◆要旨:近年、「住民票の写し等の第三者交付に係る本人通知制度」を導入・施行している市町村が見受けられる。本人通知制度は、個人情報の不正利用等の抑止や防止などを目的として地方自治体主導で開始された制度であるが、その普及状況や学術活動への適用の詳細は明らかではない。本発表では、本人通知制度に関する調査結果と、住民票の写しの第三者交付を利用する追跡調査への本人通知制度の影響について報告する。


◆発表者2:江念怡(新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻 修士課程)

◆タイトル:薬局・ドラッグストアでのPGx検査提供に関する一般市民の意識

◆要旨:近年、ファーマコゲノミクス(以下、PGx)が進展し、日本では2008年にイリノテカンに関する検査が保険収載されたほか、2010年と2012年にIL28BとCYP2C19に対する検査がそれぞれ先進医療(A)として認められるなど、医療用医薬品の処方前の検査として、PGx検査の医療への応用が進んできた。しかし、一般用医薬品に対するPGxは発展していない。2014年6月に一般用医薬品のネット販売が解禁され、一般用医薬品の99%がインターネット上で購入可能となったうえ、スイッチOTC薬を含む一般用医薬品でも重篤な副作用が発生する事例が少なくない。
 そのため、今後、一般用医薬品に関連するPGx研究が進めば、薬局・ドラッグストアでPGx検査が実施される可能性もあり、将来、市民にとって身近な検査になりうる。先行研究では、一般市民がPGx検査をどのような期待を持っているのかを明らかにした調査はないことから、本研究では、日本の一般市民の遺伝学・ゲノム科学に関するリテラシーに着目し、PGx検査への期待や関心などの態度との関連を明らかにすることを目的とする。
 研究方法は、2014年に㈱インテージに委託して実施した一般市民意識調査のデータセット(20-79歳までの男女7,540名分)を用いた分析である。回答者の遺伝学やゲノム科学に関するリテラシーを得点化し、PGx検査を含む遺伝学的検査への態度との関連、検査の説明を受けたい場所との関連、リスク・ベネフィット認知との関連等を検討した。統計解析には、SPSSVer.23用い、χ二乗検定やSpearmanの順位相関分析を行った。
 その結果、PGx検査を受けたい人は37.5%であった。また、遺伝学・ゲノム科学リテラシーの高さ、個人遺伝情報活用のベネフィット認知との関連が有意に認められたほか、いずれの場所でも事前説明を求める人は、保険加入に関する遺伝情報差別禁止法を求める傾向も認められた。
 以上の結果を踏まえて修士論文を執筆した。今回のセミナーでは、その内容について報告する。

 

 

2015年度第10回公共政策セミナー

2016/02/03

本日、2015年度、第10回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。

◆日時:2016年2月3日(水) 10時00分~12時30分

◆発表者1:神里彩子 (東京大学医科学研究所 研究倫理支援室/公共政策研究分野 特任准教授)

◆タイトル:「全員加盟制医師組織による専門職自律」に関する一考察

◆要旨:2013年8月に日本学術会議・医師の専門職自律の在り方に関する検討委員会が『報告「全員加盟制医師組織による専門職自律の確立-国民に信頼される医療の実現のために- 」(2013年8月30日)』を発表した。そこでは、法定の全員加盟制医師組織「日本医師機構(仮)」の設置が提言されている。日本医師会は、医師の組織として最大のものといえるが、医師法等の医療分野に特化した法律に基づいて設立された法定団体ではなく、戦後間もない1947年に民法34条に基づいて任意に設立された公益社団法人である(公益法人制度改革に伴い2013年に「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」に則って公益認定)。また、日本医師会に加入するか否かは各医師の判断に委ねられている(加入数は全医師の6割程度)。このように日本医師会は「任意設立・任意加入の公益社団法人」という体制をとっている。医療の質を確保するためには、日本学術会議報告の言うように、法定の全員加盟制医師組織、換言すれば、強制設立・強制加入の医師組織が必要なのだろうか?医療の質を確保するための医師組織とはどのようなものであるべきだろうか?本報告では、このリサーチクエンチョンへの手がかりとして、「日本医師会」の設立・加入体制の経緯を概観し、そこから見えることを考察したい。


◆発表者2:小林智穂子(大学院学際情報学府 文化・人間情報学コース 博士後期課程)

◆タイトル:勤労者による社会貢献活動への寄与の現状と課題

◆要旨:近年、企業ボランティア活動が注目されている。企業ボランティアとは、企業により奨励・支援を受けている活動のことで、公共の福祉の実現に寄与しようとする活動にみうけられる。これらの活動は、福祉への寄与の観点から見て、職域福祉の強化や企業市民活動の実践という側面があると整理されている(武川 2011)が、実際に企業ボランティア活動に関与した経験をもつ人々が、企業が奨励・支援するボランティア活動について、どのような経験をし、どのような意識をもっているのか、その実情は明らかにされていない。本報告では、これらを明らかにするために行ってきた、CSRデータを用いた実態調査と、インタビュー調査の進捗報告を行う。

 

 

2015年度第9回公共政策セミナー

2016/01/20

本日、2015年度、第9回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。

◆日時:2016年1月20日(水) 10時00分~12時30分

◆発表者1:須田英子 (国立環境研究所・子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)コアセンター・特別研究員)

◆タイトル:「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」概要と倫理的諸課題

◆概要:環境省「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」は、全国15か所の調査地域にて約10万人の参加児を追跡調査する出生コホート研究である。エコチル調査では、一般集団の子どもを調査対象とすること、胎児期に妊娠中の母親の代諾によって調査に参加いただくことなどを背景とした倫理的・法的・社会的課題が存在する。これらへの対応における配慮事項が、出生後13歳になるまでの追跡期間における参加児の心身の成長にともない変化していくことも大きな課題である。また、環境化学物質の健康影響を中心に据えた環境省による調査であることを背景として、従来国内で行われてきた医学研究やゲノム研究と異なる側面を持っていることも特徴であり、これに関連した倫理的課題も存在する。発表では、エコチル調査の概要と現状、これまでに経験した倫理的課題の一部を紹介する。また、昨年度より開始した参加者/参加児とのパートナーシップ構築へ向けた基礎調査について、進捗状況を報告する。


◆発表者2:李怡然 (大学院学際情報学府 文化・人間情報学コース 修士課程2年)

◆タイトル:出生コホート研究における親から子への「告知」―インフォームド・アセントを手がかりに

◆概要:近年、子を胎児期から成長後の長期にわたって追跡する出生コホート研究が世界的に実施されており、日本においても10万人を対象とする全国規模のプロジェクト「エコチル調査」が現在進行中である。未成年の研究参加者を保護するために、親の代諾だけでなく子本人の意思確認を行うべきだとされるようになり、研究者に対し、子から「インフォームド・アセント」(informed_assent)を得る努力義務が定められるようになってきている。出生コホート研究においても、成長後に子本人の意思確認を行うことが重要な検討事項とされているが、誰が、どのように子に伝えるかについては先行研究で十分に検討されていない状況にある。そこで、本研究ではインフォームド・アセントの出発点として、親が子に対し研究参加について伝える過程=「告知」(telling)があると想定し、エコチル調査に参加する親への質的調査を通して、子への告知に対する態度や希望を明らかにした。今回の発表内容は、1月下旬に予定されている学際情報学府修士論文口述審査のドラフトをもとにしている。

 

 
読み込み中