2019年度第3回公共政策セミナー
2019/07/10
本日、2019年度、第3回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。
◆日時:7月10日(水)13時半~15時頃
◆発表者:李怡然(東京大学医科学研究所 公共政策研究分野 特任研究員)
◆タイトル:家族内における遺伝性がんの「リスク告知」に関する研
◆要旨:がんゲノム医療の推進に伴い、疾患の早期発見や予防、治療
本研究では、上記の問題意識を出発点に、HBOC患者と家族への
2019年度第2回公共政策セミナー
2019/06/12
本日、2019年度、第2回目の公共政策セミナーが開かれました。
ゲストスピーカーの方にもお越しいただきました。
内容は以下の通りです。
◆日時:6月12日(水)13時半~16時頃
◆発表者1:船橋亜希子(東京大学医科学研究所 公共政策研究分野 特任研究員)
◆タイトル:最先端医療における刑事過失責任を考える
◆要旨:2017年度より「がんゲノム医療」という最先端の医療に
◆発表者2:中田はる佳(国立がん研究センター 社会と健康研究センター生命倫理・医事法研究部 研究員)
◆タイトル:未承認薬へのアクセス方法に関する日米比較
◆要旨:保険診療によるがん遺伝子パネル検査の導入や、人工知能技
「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」について(武藤)
2019/06/06
厚生労働省より、「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」について、各都道府県の関係主管部局宛に通知が発出されました(社援発0603第1号、社援保発0603第2号、障障発0603第1号、老振発0603第1号)。これは武藤が分担研究者として参加した、平成 30 年度厚生労働行政推進調査事業費補助金(地域医療基盤開発推進研究事業) 「医療現場における成年後見制度への理解及び病院が身元保証人に求める役割 等の実態把握に関する研究」班(研究代表者 山梨大学大学院総合研究部医学域 社会医学講座 山縣 然太朗教授)の研究班の成果の一部です。
様々な方々の調査協力を得て、成年後見人できること、身元保証人(ビジネス)に頼らなくてもできることを整理し、成年後見人制度をはじめとする諸制度との調整も経てまとめられたものです。このガイドラインのご紹介ご批判もかねた事例検討会など、ぜひ多職種での対話の機会を増やしてくださいませ! ぜひご覧下さい。
【院生室より】第19回東京大学 生命科学シンポジウムに参加してきました。
2019/05/30
4月20日に平成最後の「第19回東京大学 生命科学シンポジウム」に参加し、ポスター発表の機会をいただきました。
武藤研からは、大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻博士後期課程1年の高嶋佳代さんが「幹細胞治療研究に関する報道とソーシャルメディアの影響に関する一考察」について発表されました。また、同じく同課程の楠瀬まゆみが「研究領域における情報銀行(情報利用信用銀行)システムの影響と便益・利益の検討」について発表しました。文系のポスターは、武藤研の2名だけだったようでアウェイ感もありましたが、休日にもかかわらず武藤研から北林さんが応援に来てくださり、大変心強かったです。
異なる領域の方々が多かったですが、足を止めてポスターを見てくださり、質問やコメントを沢山いただきました。今後の研究につながるような示唆もいただき、大変貴重な機会となりました!
(D1- 楠瀬まゆみ)
2020年度大学院進学について
2019/05/27
公共政策研究分野では、以下の2つの大学院における修士(博士前期)・博士のそれぞれについて入学・進学を受け入れています。
出願にご関心のある方は、事前にご連絡をお願いしております。研究計画書(書式自由)とともにpuppoli[@]ims.u-tokyo.ac.jp 宛てにお送り下さい。
なお、出願にあたっては、大学院主催の説明会にもご参加下さい。
1.新領域創成科学研究科
メディカル情報生命専攻 医療イノベーションコース
担当教員:武藤、井上
http://www.cbms.k.u-tokyo.ac.jp/lab/muto.html(ラボ情報)
http://www.cbms.k.u-tokyo.ac.jp/admission/schedule.html(入試)
2019年6月1日(土) 入試説明会(ラボ紹介 10:25-12:40 Meet the Professor 12:40-13:00)には、井上が参加します。オープンラボは開催しません。
2.情報学環・学際情報学府
文化・人間情報学コース
担当教員:武藤
http://www.iii.u-tokyo.ac.jp/faculty/muto_kaori(ラボ情報)
http://www.iii.u-tokyo.ac.jp/admissions(入試)
2019年6月8日(土)10:00-12:00 文化人間情報学コース入試説明会には、武藤が参加予定です。
2019年6月8日(土)13:30 – 16:30 2020年度東京大学大学院学際情報学府入試説明会でのブース展示は行いません。
【院生室より】日本産業衛生学会に参加してきました
2019/05/26
名古屋国際会議場で開催された第92回日本産業衛生学会に参加してきました。
この学会は主に産業医で構成されるものであり、私は主に労働者の両立支援(労働者が病気にかかっても継続して働くことを支援すること)をトピックとした口演、シンポジウム等を聴講しました。労働者からの視点では労働者の生き方の尊重及び収入の確保、事業者の視点では労働者の高齢化対応及び労働力の確保の点から両立支援の取組みは重要だと考えられています。特に65歳までにがんにかかる労働者は男女とも15%であり、そのうち30%が退職している実態の改善が求められています。厚労省が推進している対策としては、がん検診の啓発、会社全体が正しく知る、がんになっても働き続ける環境をつくる、というものです。産業医は労働者の相談の窓口として役割が期待されていますが、メンタル不調に関する窓口として産業医は認知されているものの、両立支援としての認知はまだ低いことが実態のようです。また、産業医は主治医の意見を参考に両立支援を講じますが、主治医は就業よりも治療優先で、産業医の存在を知らず、双方向のコミュニケーションがまだ構築されていないことが実態のようです。その他、子育支援の出来ている企業は両立支援も進んでいるといったような発表や不妊治療と就業の両立の困難さに関する発表などもありました。当学会に参加したことで、両立支援の実態とその中での産業医の役割とその課題の概要を把握することができたと思います。
私としては産業医が参照する健康情報にゲノム情報が加わった場合に、労働者のプライバシーを保護して、産業医がゲノム情報をもとにどのように発症前の労働者に寄り添い、発症後の両立支援を準備するのか、発症後にどのように両立支援をするのかに関心があります。引き続き、当学会の情報を含めて研究を進めていきたいと考えています。
学会に参加させていただきありがとうございました。
(D1 飯田寛)
2019年度第1回公共政策セミナー
2019/05/08
本日、2019年度第1回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。
◆日時:2019年5月8日(水)13時30分~16時00分
◆発表者1.木矢 幸孝(東京大学医科学研究所 公共政策研究分野特任研究員)
◆タイトル:身体変化への抵抗の意味
◆要約:神経疾患の多くは難治性で、いまだ治療法の確立には至っていない
◆発表者2.武藤 香織(東京大学医科学研究所公共政策研究分野教授)
◆タイトル:「身元保証」がない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人へ
◆概要:近年、身寄りがなく、意思決定が困難な状態にある人の入転院や医
【終了しました】「研究室説明会」(5月25日)に関するお知らせ
2019/04/15
※5月13日更新
入試の説明会のシーズンが近づいてまいりました。恒例の公共政策研究分野主催の説明会を今年も実施します。
★大学院につきまして
この公共政策研究分野は、以下の2つの大学院における修士(博士前期)・博士のそれぞれについて入学・進学を受け入れています。これらの大学院全体の説明会も参考いただいたうえで、この「研究室説明会」では、特にこの分野にご関心がある方を対象として、入試や進学後の日々について情報提供させていただきます。進学をご検討の方には、ぜひ足を運んでいただき、進路決定の参考にしてください。
1.新領域創成科学研究科
メディカル情報生命専攻 医療イノベーションコース
担当教員:武藤、井上
http://www.cbms.k.u-tokyo.ac.jp/lab/muto.html(ラボ情報)
http://www.cbms.k.u-tokyo.ac.jp/admission/schedule.html(入試)
2.情報学環・学際情報学府
文化・人間情報学コース
担当教員:武藤
http://www.iii.u-tokyo.ac.jp/faculty/muto_kaori(ラボ情報)
http://www.iii.u-tokyo.ac.jp/admissions(入試)
★研究室説明会の日時・場所は以下のとおりです。
日時:2019年5月25日(土)11時開始(14時ごろ終了予定)
場所:公共政策研究分野研究室(白金台キャンパス)
東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター・3階
http://www.pubpoli-imsut.jp/access/index.html
参加をご希望の方には事前登録をお願いしています。参加をご希望・予定の方はお名前とご所属、当日の緊急連絡先について下記までご連絡ください。
pubpoli@ims.u-tokyo.ac.jp(事前登録)
★当日の内容は以下のとおりです。
1. 研究室の紹介
2. 学生生活/研究関心の紹介
① ゲノム編集はどこまで認められるのか:一般市民の意識調査(仮)
② 家族内における遺伝性疾患の「リスク告知」の調査について(仮)
3. 入試制度の解説、各研究科の入試経験談の紹介
4. 質疑、進路相談
★教員との個別の面談を希望される方
当日に面談を希望する方は事前にお知らせください。後日改めての面談も受け付けています。
李 怡然さんが日本保健医療社会学会「園田賞」を受賞しました
2019/03/29
日本保健医療社会学会では、当該年度に発行された機関誌『保健医療社会学論集』に掲載された若手研究者による論文(総説、原著、研究ノート)のうち、著者(共著の場合は筆頭著者と読みかえる)の年齢が35歳未満であるか、また研究歴が10年未満とみなせるものを対象に、学会奨励賞として園田賞を授与しています。
このたび、『保健医療社会学論集』第29巻1号に掲載された「ゲノム医療時代における「知らないでいる権利」」(研究
本選考に携わって下さった関係者の皆様に心から御礼申し上げます。
李 怡然・武藤 香織
ゲノム医療時代における「知らないでいる権利」『保健医療社会学論集』29(1): 72-82, 2018.
(掲載から一年半を経過した時点でJ-STAGEにて公開される予定です)
【院生室より】送別会が開かれました
2019/03/29
先日、表参道の隠れ房というお店にて武藤研の2018年度の送別会が行われました。送別される方は高嶋佳代さん、内山さん、李さん、飯田の四名。しかし、高嶋さんはご栄転が決まっているも同時に新領域創成科学研究科の博士課程入学ということで武藤研にも残り、内山さん、李さんは博士課程単位取得満期退学するも内山さんは客員研究員、李さんは特任研究員として武藤研に引き続き残り、飯田は修士号取得するも新領域創成科学研究科の博士課程進学し武藤研に残るということで、特に送別というわけではなく、どちらかというと壮行する会となったんだと思います(従ってお別れの涙も無しです)。
高嶋さんには皆から置時計と武藤先生からニコライバーグマンのフラワーボックスが授与されました。私、飯田も皆さんよりオーディオテクニカのイヤホンを頂きました(イヤ、ホンとうにありがとうございます)。また、内山さん、李さん、飯田から研究室にIMSUTマーク入りの掛け時計を進呈させていただきました。また、高嶋さんより市田商店の「京の天然ばすそると」を参加者は頂きました。
OGの皆さんも参加され、美味しい食事に飲み放題のアルコール類もあり、盛況な会となりました。ただ、席の移動が難しく、全員とはお話しできなかったのは残念です・・・。
こんな素敵な会を設定していただいた、幹事の永井さん、李さん(送別される側なのに・・・?)、本当にありがとうございました。新年度も皆さん、宜しくお願いいたします。
(M2 飯田寛)
【院生室より】高校生の皆さんが、研究室見学に来てくださいました
2019/03/27
こんにちは。早くも年度末を迎えました。
3月27日(水)に、三重県立四日市高等学校の学生のみなさんが、研究室見学にいらしてくださいました。今回は、理化学研究所所属で、当研究室の客員研究員である楠瀬まゆみさんから、再生医療研究とその倫理的課題についてトークをしていただき、iPS細胞(人工多能性幹細胞)のもつ利点、課題点について紹介しました。続いて、「患者さんのヒトiPS細胞を使って、動物の体内で移植用臓器をつくる研究を進めてもよいかどうか?」という模擬事例のテーマで、皆さんにグループ・ディスカッションを体験してもらいました。
なかなか難しいテーマだったかと思いますが、各グループとも、一人ひとりがしっかりと賛成・反対の意見とその理由を述べられ、上手にディスカッションを進行してまとめていました。スタッフもファシリーテーターとしてグループの輪に入ったのですが、意見を促す必要がないぐらい、スムーズに議論が進んだため、レベルの高さに一同感動しきりでした…!
がんや病気の治療、医学研究に興味がある学生さんが多かったと思いますので、私たちの研究室のように、倫理的課題、政策やガバナンスに取り組む分野はなじみが薄かっただろうと思います。それでも、ディスカッションが楽しかった、という感想をいただけて、私たちもとても嬉しく思いました。
明るく元気な高校生のみなさんとお話ができて、フレッシュな気持ちになれた気がします!これからの高校生活と、今後どのような進路に進むか、楽しみにしています。
短い時間でしたが、足を運んでいただき、本当にありがとうございました!
(D3・李怡然)
2018年度第9回公共政策セミナー
2019/03/13
本日、2018年度、第9回目の公共政策セミナーが開かれました。
ゲストスピーカーの方にもお越しいただきました。
内容は以下の通りです。
◆日時:2019年3月13日(水)13時30分~16時00分
◆発表者1:高島響子(国立国際医療研究センター メディカルゲノム
◆タイトル:患者遺伝情報の家族への共有に関する医師の義務
◆要約:患者は、自らの遺伝情報について知る権利・知らないでいる権利を
◆発表者2:武藤香織(東京大学医科学研究所 公共政策研究分野 教授)
◆タイトル:倫理審査委員会の一般の立場の委員をめぐる検討~患者・市民参画
◆要約:倫理審査委員会に非専門家の立場の委員を置くというルールは、米
本報告では、この調査結果のうち、「一般の立場の委員」の動機や
2018年度第8回公共政策セミナー
2019/02/13
本日、2018年度、第8回目の公共政策セミナーが開かれました。
ゲストスピーカーの方にもお越しいただきました。
内容は以下の通りです。
◆日時:2019年2月13日(水)13時30分~16時00分
◆発表者1:神原容子(東京大学医科学研究所 公共政策研究分野 学術支援専門職員)
◆タイトル:遺伝カウンセリングについて
◆要約:遺伝カウンセリングの概略と私が行っている遺伝カウンセラーの仕
◆発表者2:渡部沙織(東京大学先端
◆タイトル:ジェネティック・シティズンシップ(遺伝学的市民権)に基づく難病患者研究参画の基盤整備に関する研究
◆要約:本研究は、先進諸国で展開してきたジェネティック・
医学研究の倫理をテーマにした単行本が刊行されました(『医学研究・臨床試験の倫理 わが国の事例に学ぶ』)
2019/02/10
『医学研究・臨床試験の倫理 わが国の事例に学ぶ』が日本評論社より刊行されました。編者を井上が担当したほか(国立がん研究センターの一家綱邦さんとの共編)、執筆にも船橋他の研究室関係者、そして月例で開かれている研究倫理研究会のメンバーが多く参加しています。企画から刊行まで3年がけの作業でしたが、奇しくも臨床研究法の施行の年に刊行されることになりました。
この本では、わが国で、医学研究での「被験者保護」「研究倫理」が争点となった、15の出来事を検討しています。海外の出来事や事例が紹介される機会は多いのですが、この日本でこれまでどのような出来事が議論されてきたのか、また単にその事案の問題としてではなく、そこから今日の我々が学ぶべき課題は何か、このような視点からアプローチした類書はありませんでした。
患者を対象とする研究のほか、軍による研究、刑務所や乳児院での研究、最近のものでは産学連携をめぐる事案、研究論文の不正などが登場します。巻末には海外の議論と比較できるよう、整理した年表も付しました。改めて俯瞰すると、「問題」が認識される時代背景にも一定の潮流があり、「人を対象とする研究」を今後どのように検討していくべきか、新たな議論の地平も見えてきました。1月には本書の書評会があり、香川知晶さん(山梨大学)、松原洋子さん(立命館大学)、坂井めぐみさん(同)より貴重なコメントをいただき、議論することができました。刊行に至るまで多くの方々からいただいた助言、激励に感謝申し上げます。読売新聞ヨミドクター、日本臓器保存生物医学会の刊行誌(Organ Biology vol.26 No.1)などに書評が掲載されています。
PLOS ONE誌に臨床試験・治験参加経験のある患者の意思決定の背景に迫る論文が掲載されました(武藤)
2019/01/31
治験に参加した経験がある患者2,045名を対象とした質問紙調査(株式会社インテージのパネルを利用)と、認定NPO法人ディペックス・ジャパン※1が管理する「臨床試験・治験参加者の語りデータベース」※2に収載されている語りのデータも併用して分析し、患者が臨床試験・治験※3に参加するまでの意思決定の過程を分析した結果が東部標準時2019 年 1 月 29 日午後2時にPLOS Group の科学誌 PLOS ONEの電子版に掲載されました。
質問紙調査の結果から、多くの患者は、医療者から臨床試験・治験に関する詳細な情報を受け取る前に、すでに「インフォーマルな意思決定」をしており、短期間のうちに(概ね2~3日間)、誰にも相談せずに参加の決断をしている傾向が明らかになりました。また、語りのデータの分析から、患者の臨床試験への参加にあたっての態度は、①能動的参加(医療者の考えを引き出し、積極的に同調する)、②受動的参加(医療者の提案をそのまま受け入れる)といったタイプに分類され、熟慮のうえで意思決定をしている状況とは言いがたいものでした。また、著者らは、患者が臨床試験・治験への参加判断をするまでに4つの段階を経るのではないかと考えました(臨床試験・治験に関する最初の情報に接する段階、「インフォーマルな意思決定」をする段階、臨床試験・治験に詳しい医療者からの詳細な説明に接する段階、「フォーマルな意思決定」をする段階)。そこで、著者らとしては、臨床試験・治験のインフォームド・コンセント※5を担当する医療者は、熟慮するきっかけを促すためのリストの作成、4日以上の熟慮期間の確保に留意すべきではないかと結論づけています。
本研究成果は、国立がん研究センター生命倫理・医事法研究部の 中田 はる佳(なかだ はるか)研究員、群馬パース大学保健科学部の 吉田 幸恵(よしだ さちえ)講師、東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターの 武藤 香織(むとう かおり)による共著論文です。
※1 認定NPO法人ディペックス・ジャパン
オックスフォード大学で作られているDIPEx(Database of Individual Patient Experiences)をモデルに、日本版の「健康と病いの語り」データベース」のデータベースを構築し、それを社会資源として活用していくことを目的として作られた特定非営利活動法人(NPO法人)です。
※2 臨床試験・治験参加者の語りデータベース
認定NPO法人ディペックス・ジャパンの「健康と病いの語りデータベース」内にある、臨床試験・治験に参加した人、参加できなかった人、参加を断った人など、なんらかの形で臨床試験・治験に関与したことがある40名の語りが収録されたデータベース。その語りの一部はウェブ上で公開されている。
※3 臨床試験・治験
新規の医薬品・医療機器開発や、手術方法等の安全性や有効性を確認するために実施される、健康な人や患者を対象とした臨床研究を臨床試験と呼ぶ。このうち、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に基づき、医薬品・医療機器等の製造販売承認を得るために実施される臨床試験を治験と呼ぶ。
※4インフォームド・コンセント
臨床試験・治験において、研究対象者が研究内容について十分な説明を受け理解したうえで、その研究参加に関して意思決定する過程のこと。
Journal of Human Genetics誌にがん遺伝子パネル検査に対する態度に関する論文が掲載されました(永井・李・武藤)
2019/01/11
永井です。Journal of Human Genetics誌にがん遺伝子パネル検査に対する態度に関する論文が掲載されました。
Akiko Nagai, Izen Ri & Kaori Muto
Attitudes toward genomic tumor profiling tests in Japan: patients, family members, and the public
Journal of Human Genetics (2019)
https://www.nature.com/articles/s10038-018-0555-3
がんに関連する遺伝子を網羅的に調べるがん遺伝子パネル検査は、医療への応用が急速に進んでいます。日本では、2018年にがんゲノム医療の中核を担うがんゲノム医療中核拠点病院が指定されるなど、がんゲノム医療の推進に向けた体制整備が進められています。海外におけるがん患者を対象とした研究では、がん細胞のプロファイリングへの関心が高く、二次的所見の開示を希望する人が多いけれども、心理的負担や健康保険への影響などの懸念も示されたと報告されています。しかし、日本では、がん遺伝子パネル検査の認知度や同検査に対する態度に関する調査はほとんど行われておらず、がん患者やがん患者の家族が、がん遺伝子パネル検査に対してどのような期待や懸念を持っているかは明らかではありませんでした。そこで、がん患者やがん患者の家族、一般市民を対象として、2018年3月と5~6月にがん遺伝子パネル検査の認知度および同検査に対する態度について調査を行いました。
調査の結果から、がん遺伝子パネル検査の認知度は、がん患者・がん患者の家族・一般市民のいずれのグループでも低いけれども、がん患者とがん患者の家族は一般市民よりも同検査のベネフィットを高く認識していることが明らかになりました。がん患者の家族は、がん患者よりもがん遺伝子パネル検査の生殖細胞系列の結果を共有したいと考えている人が多いことがわかりました。がん遺伝子パネル検査の主な検査対象となる進行がんの患者は、心理的な負担から治療選択や生殖細胞系列の結果の共有について意見を述べることが難しい可能性があることから、がん遺伝子パネル検査はアドバンスド・ケア・プランニングと一緒に提示されるべきと考えます。
2019年度よりがん遺伝子パネル検査は保険適用されることとなり、同検査への関心や態度に影響を与える可能性があります。今後もがん遺伝子パネル検査に対する態度について調査を行い、がんゲノム医療の普及に向けた課題について検討していく必要があると考えています。
■プレスリリース文は下記をご覧ください■
がん遺伝子パネル検査に寄せる期待と懸念とは?
-がん患者・一般市民を対象としたインターネット調査の結果より-
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/files/190212jhg.pdf
2018年度第7回公共政策セミナー
2019/01/09
本日、2018年度、第7回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。
◆日時:2019年1月9日(水)13時30分~16時00分
◆発表者1:内山正登(大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生
◆タイトル:ヒト生殖細胞系列へのゲノム編集に関する啓発プログラムの開発に
◆要約:博士課程の3年間、受精卵を中心としたヒト生殖細胞系列へのゲノ
今回は3年間の研究活動の総括として、これまでの一連の研究内容
また、今後ヒト受精胚への一般市民の認識を明らかにするため、フ
◆発表者2:李怡然(大学院学際情報学府 文化・人間情報学コース 博士後期課程)
◆タイトル:遺伝性疾患の患者の「リスクの医学」をめぐる経験と認識
◆要約:網羅的なゲノム解析技術を利用したゲノム学が発展し、ゲノム情報
第5回「ヒトゲノム研究倫理を考える会」 – 新しいゲノム医療の中で何が必要か –(1/16)
2018/12/19
2018年度第5回「ヒトゲノム研究倫理を考える会」
– 新しいゲノム医療の中で何が必要か –
◆日時:2019年1月16日(水)14:00-17:00 (開場13:30)
◆会場:東京大学医学研究所 1号館講堂(東京都港区白金台 4-6-1)
◆対象:大学・研究機関の倫理審査関係者、研究者など
◆定員・参加費:100名(無料)
◆主催:文部科学省科学研究費新学術領域「先進ゲノム支援」ゲノム科学と社会ユニット(GSユニット)
◆協力:東京大学ゲノム医科学研究機構
◆事前申し込みが必要です
https://www.genomics-society.j
◆プログラム
14:00-14:10 「開会の挨拶」
東京大学医科学研究所 武藤 香織
14:10-14:30 「保険診療として行われるがん遺伝子パネル検査」
国立がん研究センター 河野 隆志
14:30-14:50 「がん遺伝子パネル検査:研究から診療への移行・混在に伴う倫理
東京大学医科学研究所 武藤 香織
14:50-15:10 「患者からみる今後の課題と対策」
(一社) ゲノム医療当事者団体連合会 太宰 牧子
15:10-15:30 「生命保険とゲノム医療」
(一社) 生命保険協会 契約サービス委員会 浦中 麻由良
15:30-15:50 「総合的な政策のあり方」
参議院議員 薬師寺 みちよ
(休憩 10分)
16:00-16:10 指定発言
大阪大学大学院医学系研究科 加藤 和人
質疑・総合討論
◆問合せ:workshop@eth.med.osaka-u.ac.jp
2018年度第6回公共政策セミナー
2018/11/21
本日、2018年度、第6回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。
◆日時:2018年11月21日(水)13時30分~16時00分
◆発表者1:飯田 寛(大学院学際情報学府 文化・人間情報学コース 修士課程)
◆タイトル:発症前検査の影響―生命保険
◆要約:修士論文で取り組んでいる研究(発症前検査の影響‐生命保険)の背景・目的・方法・調査内容・中間報告について発表する。発症前検査の進展・普及が生命保険に影響することとしてアットリスクの状態の方及び血縁者が保険に入れないという遺伝差別の問題、アットリスクの加入者が将来のリスクを告知しないで加入する逆選択の問題が挙げられる。各国が発症前検査の生命保険の利用について規制をつくっているが、日本では規制が存在せず、保険業界の議論も進んでいない。そこで、遅れてしまった日本で議論を進めるためには、海外の参考になる事例を明らかにすることとステークホルダーたる日本の生命保険業界・会社員の発症前検査に関する知識・考えなどの現状を明らかにするこが必要と考える。このことを研究の目的とする。海外の事例として英国のモラトリアム協定制定までの経緯について文献調査を実施、日本の現状把握については生保研修会参加者に対する事前アンケート調査を実施した。前回の公共政策セミナーの発表後に英国保険協会のヒアリングと日本の生命保険社員へのヒアリングを実施したので、その結果も加えて報告する。
◆発表者2:永井 亜貴子(東京大学医科学研究所 公共政策研究分野 特任助教)
◆タイトル:がん遺伝子パネル検査に対する患者・市民の態度
◆要約:がん組織の遺伝子を一括して網羅的に調べるがん遺伝子パネル検査は、がんの治療方針の決定において有用とされ、医療への応用が急速に進んでいる。日本では、2018年2月に「がんゲノム医療中核拠点病院」が指定され、4月にがん遺伝子パネル検査が先進医療として承認されるなど、がんゲノム医療の推進に向けた体制整備が進められている。海外では、がん患者を対象とした調査がいくつか報告されているが、日本のがん患者や市民のがん遺伝子パネル検査に対する態度は明らかではない。
こうした背景の下、がん患者およびがん患者の家族と市民を対象として、がん遺伝子パネル検査に関するインターネット調査を実施した。本報告では、特に、がん遺伝子パネル検査の認知度や同検査に関する期待や懸念などに関する結果について紹介します。
第4回研究倫理を語る会(2/10)in 名古屋!
2018/11/10
第4回研究倫理を語る会のサイトがオープンしました。
次回は名古屋です。お早めにお申込下さい!
日時:平成31年(2019年)2月9日(土) 場所:名古屋大学医学部(名古屋市昭和区) 参加費:5000円(事前4000円)
https://confit.atlas.jp/guide/event/kenkyurinri4/static/announce