【院生室より】「みらいのかぞくプロジェクト」トークイベント「みんなでかぞくを考える~誰もが生きやすい社会のために~」が開催されました
2018/02/05
こんにちは。D2の内山正登です。
寒い日々が続いておりますが、体調など崩されていませんか?
インフルエンザも流行っておりますので、体調には十分お気をつけください。
1月27日に、武藤先生が監修している日本科学未来館「みらいのかぞくプロジェクト」トークイベント「みんなでかぞくを考える~誰もが生きやすい社会のために~」に参加してきました。このプロジェクトは2015年からスタートし、今回のトークイベントがプロジェクト最後のイベントとなりました。
これまでのトークイベントでは、「出生前検査」、「ヒト受精卵へのゲノム編集」、「第三者が介入する生殖補助医療」といった個別の科学技術に対して、専門家の方をお招きしてのイベントでしたが、今回はこれまでの活動を武藤先生とともに振り返りながら、科学技術の進展に伴う家族のあり方について参加者と「かたりあう」ことをメインに行われました。家族のあり方に関する様々な質問に答えながら、自分の家族に関する価値観を再認識するとともに、参加者の方々と共有することによって、”誰もが生きやすい社会”に向かうために必要なことを会場全体で考えました。
自分は「ヒト受精卵へのゲノム編集」を題材に、サイエンスコミュニケーターの方々とともに高校生対象のプログラムの実践などを通して、「みらいのかぞくプロジェクト」に関わらせていただきました。これまでの活動を通して、サイエンスコミュニケーターという役割の重要性と、技術の進歩が社会に与える影響について一般の方々とともに考えることの重要性と難しさを認識する機会となりました。
今年度で「みらいのかぞくプロジェクト」は終了となってしまいますが、今後も日本科学未来館の方々とご一緒に活動ができたらいいなと強く感じました!ご興味がある方は、ぜひこれまでの活動をチェックしてみて下さい!
日本科学未来館「みらいのかぞくプロジェクトFacebook
https://www.facebook.com/mirainokazoku/
(D2・内山正登)
2017年度第7回公共政策セミナー
2018/01/17
本日、2017年度、第7回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。
◆日時:2018年1月17日(水)13時30分~16時00分
◆発表者1:高嶋佳代(東京大学医科学研究所・公共政策研究分野・特任研究員)
◆タイトル:中央倫理審査体制構築ー英国倫理審査委員会改革の歴史より
◆要旨:現在日本の医学研究に関わる審査体制に様々な動きが認められてい
しかしながら、
他方、現在は倫理審査に関して中央管理体制をとっている英国は、
本発表では、英国を取り上げる理由を明確にした上で、
◆発表者2:武藤香織(東京大学医科学研究所・公共政策研究分野・教授)
◆タイトル:先住民族を対象とする研究の倫理
◆要旨:本報告では、現在、取り組んでいる2つのテーマ(
「先住民族の権利に関する国際連合宣言」(2007)を受けて、
だが、
「みらいのかぞくプロジェクト」トークイベント(1月27日土曜13時30分~)
2018/01/15
日本科学未来館とコラボしてきた「みらいのかぞくプロジェクト」
が今年度で終了となるため、これまでの活動を振り返るトーク
イベントを2018年1月27日(土)に開催します。
日が迫っておりますが、宜しければご関心のある方にご周知
頂きたくお願い申し上げます。
ご参加ご希望の場合は、以下のURLよりお申込下さい。
http://www.miraikan.jst.go.jp/event/1712120922331.html
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日本科学未来館「みらいのかぞくプロジェクト」
みんなでかぞくを考える~誰もが生きやすい社会のために~
いま、家族のかたちを大きくかえうる科学技術が進展しています。
「出生前検査」や「ヒト受精卵へのゲノム編集」、「第三者が介入
する生殖補助医療」などに対して、私たちはどう向き合っていけば
いいでしょう?
一人ひとりが求める家族のかたちが多様化するなかで、
その違いから"葛藤や違和感"が生まれているのではないでしょうか。
このトークイベントでは、生命倫理や人権の観点から生殖補助医療
や遺伝性疾患を研究している武藤香織氏をお招きし、未来の家族の
かたちはどうなっていくのかについてお話をうかがいます。
また、参加者のみなさまに、ご自身の家族観に関する問いに答えて
いただきながら、自分と他人の家族観の違いを知り、
できるだけ"葛藤や違和感"が少なく、誰もが生きやすい社会に向かう
ため、私たち自身はどう変わっていけばよいのかを、一緒に考えていきます。
[プログラム]
●ふりかえる(30分)
これまでの活動を振り返りながら、家族の多様化について生命倫理の観点から、
講師のお話を聞きます。
※これまでの活動を知らない方でもご参加いただける内容です。
●かたりあう(80分)
会場のみなさまに問いを投げかけながら、誰もが生きやすい社会のあり方
について会場全体でディスカッションをします。
※直接発言をしなくてもディスカッションにご参加いただけるように
準備をしています。
開催日時 2018年1月27日(土) 13:30~15:30
開催場所 日本科学未来館 7階 コンファレンスルーム土星
定員 80名
参加費 無料
申込種別 先着順
申込可能人数 ご本人含め同時に4人まで
申込方法 WEBによる事前申込が必要です。
※[連絡事項など]に、なぜ本イベントに参加したいと思ったか、
皆さまの想いをご記載ください。
主催 日本科学未来館
iPS細胞を世界で初めて人に応用した臨床研究の、審査における議論を分析した論文がRegenerative Medicine誌に掲載されました
2017/12/19
2014年に、iPS細胞を世界で初めて人に応用した臨床研究(First-in-human試験)は、国内外で多くの注目を集めました。この臨床研究は、加齢黄斑変性症の患者さん自身の細胞からiPS細胞を作成し、そのiPS細胞から作成された細胞シートを網膜に移植するという研究でした。
研究倫理の側面からもこの臨床研究についてはいくつか分析が行われていましたが、実際にどのような議論を経て臨床研究が開始されたかについての分析は行われていませんでした。そこで我々のチームでは、当時(再生医療安全確保法施行前)のヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針に準拠して審査が行われた、施設倫理審査委員会とヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会、厚生科学審議会科学技術部会の審査委員会のそれぞれの議事録を入手し、全体の議論の分析を行いました。その上で、今後、再生医療研究分野におけるFirst-in-human試験の審査を行う上で必要な示唆をまとめました。
本稿は、特に再生医療分野に焦点を絞った議論となっていますが、一般的な薬剤開発のようにFirst-in-human試験を健常人対象で実施することなく、直接患者対象で実施するような臨床研究でも同じように着目すべき論点だといえます。
最後になりますが、議事録をご提供下さった各機関のご担当の方々に心より御礼申し上げます。
Kayo Takashima, Yusuke Inoue, Shimon Tashiro & Kaori Muto. Lessons for reviewing clinical trials using induced pluripotent stem cells: examining the case of a first-in-human trial for age-related macular degeneration. Regenerative Medicine .2017 (Ahead of print)
https://www.futuremedicine.com/doi/10.2217/rme-2017-0130
講演会&対話フォーラム「がん研究の今と未来:ゲノムデータの共有って何のため?〈乳がん編-遺伝性って何だろう?〉」のお知らせ
2017/11/24
本企画は終了いたしました。
ご参加下さった皆様、ありがとうございました。
講演会&対話フォーラム
『聞イテミル・考エテミル!?
がん研究の今と未来:ゲノムデータの共有って何のため?
〈乳がん編-遺伝性って何だろう?〉』
を開催します。
【日時】 2017年12月9日(土)
13:00~17:00(12:40開場)
【場所】 東京大学医科学研究所 1号館講堂 (東京都港区白金台4-6-1)
[医科研アクセスマップ]
[医科研キャンパスマップ]
(キャンパスマップの⑨1号館)
【参加】 どなたでもご参加いただけます(無料)
【申込】 下記サイトより、必要事項を添えてお申し込みください
お申込はこちらをクリック
【プログラム】
1.講演の部 13:00~14:40
・「乳がんのゲノム研究の現在(仮)」
三木 義男氏(東京医科歯科大学難治疾患研究所)
・「がんゲノム研究のデータ共有(仮)」
川嶋 実苗氏(JSTバイオサイエンスデータベースセンター)
・「研究データの共有における倫理的問題」
高島 響子氏(東京大学医科学研究所)
2.対話の部 15:00~17:00 (定員25名)
乳がんの研究、特にゲノム研究においてデータ共有がなぜ必要なのか、市民や患者にどのように関係しているのか、どのように研究を進めるのが良いのかについて、市民、患者、経験者、患者家族、研究者、医療者、遺伝の専門家等さまざまな立場の人達と一緒に考え、話し合います(ファシリテーターが進行)。
【概要】
今、がんの解明や治療のために、人の遺伝情報である「ゲノム」を調べる「がんゲノム研究」が注目されています。がんゲノム研究のめざましい進歩によって、病気と遺伝情報の関わりが急速に明らかにされつつあるのです。しかし、たった一人のゲノムからわかることは多くありません。がんについてより深く調べるためには、何千人、何万人分ものゲノムデータを研究する必要があります。そこで近年、複数の研究で得られた情報をまとめて、他の研究者も利用できることを目指す「データ共有」の取り組みが進められています。
本企画では、乳がん研究やゲノム研究の最前線で活躍される専門家をお招きし、治療や研究を巡るゲノムデータ共有の最新情報をお届けします(講演の部)。
さらに、私たちのゲノムデータが研究に使われたり、データ共有されることが、なぜ必要なのか?データ共有はどのように医療に役立つのか?どんな配慮が必要か?について、周りの参加者や第一線の研究者と気軽に語り合う場を設けます(対話の部)。
この機会に、がん研究の今と未来はどうなるのか、私たちのゲノムデータが活用され社会や医療に還元されるにはどうしたらよいのか、一緒に学び、語り合ってみませんか?
【その他】
・対話の部は、講演の部の参加者のみご参加頂けます。
・対話の部には「話しやすい場づくり」が得意なファシリテーターがつきますので、 お一人でもお気軽にご参加頂けます。
・講演の部のみのご参加も可能です
・なお、対話の部は個人の状況改善を目的とする相談会ではありませんのでご注意ください。当日の話題は、司会並びにファシリテーターが提供し、プログラムに従って進めます。
【主催】 「聞イテミル・考エテミル?!『がん研究の今と未来:ゲノムデータの共有って何のため?』」実行委員会
【支援】 文科省科研費『システム癌新次元がんシステムの新次元俯瞰と攻略』「ゲノム解析の革新に対応した患者中心主義ELSIの構築」(代表者 武藤香織)
文科省科研費「責任ある研究・イノベーションの実現に向けた日本の研究者と疾患当事者の関係構築」(代表者 東島仁)
【お問合せ】
山口大学 東島仁(jhigashi@yamaguchi-u.ac.jp)
東京大学医科学研究所公共政策研究分野 高島響子(ktakashima-tky@umin.ac.jp)
第3回研究倫理を語る会は、国立がん研究センターで開催されます(2/10)
2017/11/20
平成30年2月10日(土)に「第3回研究倫理を語る会」を開催する運びとなりました。
今回は、国立がん研究センター新研究棟にて開催いたします。
詳しくは、公式サイトをご覧下さい。
多数のご参加をお待ちしております!
2017年度第6回公共政策セミナー
2017/11/08
本日、2017年度、第6回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。
◆日時:2017年11月8日(水)13時30分~16時00分
◆発表者1:高島響子(東京大学医科学研究所公共政策研究分
◆タイトル:ゲノム情報の研究利用およびデータ共有に対する国内
◆要旨:医学研究や臨床試験で得られたデータを共有する動きが拡
【方法】2017年2月、居住地域・性・年代を調整した20-6
【結果】10,881名から回答を得た(有効回答率25%、男女
【結論】ゲノムデータの研究利用及び共有は一定程度受け容れられ
◆発表者2:吉田幸恵(東京大学医科学研究所公共政策研究分
◆タイトル:現状報告及び語り論文第2弾に関して
◆要旨:「臨床試験・治験の語り」プロジェクトにおいて出会ったひとりの女性に関する論文の執筆を準備している段階である。
調査協力者の中で、特に「臨床試験に参加した(
講演会「考えてみよう、人の生殖細胞・受精卵へのゲノム編集の倫理」のお知らせ(11/19)
2017/10/25
【本イベントは盛況のうちに終了いたしました。参加者の皆様に御礼申し上げます】
講演会「考えてみよう、人の生殖細胞・受精卵へのゲノム編集の倫理」を開催します
【日時】 2017年11月19日(日) 14:00~16:00(開場 13:30)
【場所】 東京大学医科学研究所 1号館講堂 (東京都港区白金台4-6-1)
[医科研アクセスマップ]
[医科研キャンパスマップ]
【話題提供】 内山正登さん(東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程)
宗像恵太さん(日本科学未来館科学コミュニケーター)
【講演】 アラステア・キャンベルさん(シンガポール大学生命倫理センター名誉所長)
【司会】 武藤香織(東京大学医科学研究所教授)
【概要】 人の生殖細胞や受精卵へのゲノム編集については、2015年の中国の研究者による論文発表以来、日本を含め、どの国の声明においても、患者や市民を交えた議論の必要性が指摘されています。しかし、専門家以外がこの技術をめぐる倫理的な課題について学ぶ機会は限られています。
そこで、このテーマに初めて接する皆様に楽しんでご参加いただけるよう、日本科学未来館の科学コミュニケーターに解説してもらいながら、著名な生命倫理学者のアラステア・キャンベルさんをお招きして、患者さんや市民の方々を対象とした講演会を開催します。皆様のご参加をお待ちいたしております。
【参加】 無料
【通訳】 逐次通訳のご用意があります
【主催】 日本生命倫理学会
【共催】 東京大学医科学研究所公共政策研究分野(AMED「再生医療の実現化ハイウェイ再生医療研究における倫理的課題の解決に関する研究(課題D)」)
【協力】 日本科学未来館
お申し込みはこちらから
申込みをする
【お問い合わせ】
東京大学医科学研究所 公共政策研究分野
E-mail: event@pubpoli-imsut.jp
「生命倫理」誌に論文が掲載されました(臨床試験の語りプロジェクト・吉田)
2017/10/19
2017年度第5回公共政策セミナー
2017/10/11
本日、2017年度、第5回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。
◆日時:2017年10月11日(水)13時30分~16時00分
◆発表者1:洪賢秀(東京大学医科学研究所公共政策研究分野 特任助教)
◆タイトル:韓国の「ホスピス・緩和医療の利用および終末期患者
◆要旨:近年、韓国では医療機関において死亡するケースが増加している。
2008年2月には、「セブランス病院事件」が生じ、尊厳ある死
このような判決は、長年韓国社会において議論されてきた「自己決
本報告では、2016年に制定された「ホスピス・緩和医療の利用
◆発表者2:楠瀬まゆみ(東京大学医科学研究所公共政策研究
◆タイトル:マンスフィールドーPhRMAリサーチ・スカラープ
◆要旨: 報告者は、マンスフィールド-PhRMAリサーチ・スカラー・
ヒト臓器産生を目的としたヒト-動物キメラ作製に関する一般市民の意識調査(試行)についての論文がAsian Bioethics Reviewに掲載されました(楠瀬)
2017/09/25
Asian Bioethics Reviewに下記の論文が掲載されました。
A Preliminary Study Exploring Japanese Public Attitudes Toward the Creation and Utilization of Human-Animal Chimeras: a New Perspective on Animals Containing “Human Material” (ACHM)
Kusunose, M., Inoue, Y., Kamisato, A., Muto, K.
Asian Bioethics Review (2017) https://doi.org/10.1007/s41649-017-0020-1
慢性的に移植用ヒト臓器が不足するなか、iPS細胞等を用いた再生医療研究が進んでいます。その一つに、特定臓器を作製できないよう操作された動物胚に患者自身のiPS細胞を挿入して「ヒトー動物キメラ(ヒトの要素を持つ動物)」を作製し、患者の細胞でできた拒絶反応のない移植用ヒト臓器を産生するという研究が実施されています。
我々は、2012年2月に、このような「ヒトー動物キメラ(ヒトの要素を持つ動物)」の作製と利用に対する一般市民の意識に関する質的調査を試行的に実施しました。対象は、首都圏在住の一般生活者24名で、20代~30代と40代~50代の男女6名ずつ計4グループに分け、事前に作成されたインタビューガイドに沿って資料を提示しながら、1グループ約2時間のフォーカス・グループ・インタビューを実施しました。インタビュー内容は逐語化され、データを発言毎にカテゴリー化し、分析しました。
その結果、20代男性のグループを除いたその他のグループでは、医学的発展の重要性は認めつつも、たとえ自分や自分の子どもが移植が必要となったとしても「ヒトー動物キメラ(ヒトの要素を持つ動物)」の作製と利用に反対する態度が認められました。これらの人々は従来の「ヒトの要素を持つ動物」という視点ではなく、「私の要素を持つ動物」や「私の子どもの要素を持つ動物」という視点でヒト-動物キメラを捉え、単なる実験動物ではなく、自分や自分の子どもの細胞をもった特別な存在として位置づけていました。このような視点は先行研究では述べられていなかった視点です。
本稿の最後では、今回のフォーカス・グループ・インタビューで得られた結果や新たな視点を元に、今後一般市民の理解を得ながらヒト臓器産生を目的としたヒトー動物キメラ作製研究を実施するために必要な事項について述べられています。
出生コホート研究の参加者調査の結果がHealth Expectations誌に掲載されました(李)
2017/09/22
D2の李怡然です。
Health Expectations誌に、下記の論文が掲載されました。
Izen Ri, Eiko Suda, Zentaro Yamagata, Hiroshi Nitta, and Kaori Muto. “Telling” and assent: Parents’ attitudes towards children’s participation in a birth cohort study. Health Expectations. 2017. DOI:10.1111/hex.12630
現在、世界各国で疫学の観察研究の一種である、出生コホート研究が実施されています。日本でも全国10万人の子どもを胎児期から13年にわたって追跡する「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」という大規模なプロジェクトが2011年から始まっています。
親が代諾して子どもが参加する、出生コホート研究を実施する上での課題として、研究者が成長後に子ども本人から「インフォームド・アセント(informed assent)」(=賛意)を得ること、そして「ディセント(dissent)」(=拒否)の意向を尊重することが重要だと、近年国際的に指摘されています。
ただし、インフォームド・アセントを得る以前に、研究参加に代諾した親から、子どもに研究参加について伝えるプロセス(“telling”「告知」)については、これまで着目されてきませんでした。そこで、「お母さんやお父さんは、いつ・誰と・どのようにお子さんにお話をするのだろうか?」という疑問から出発して、私たちはエコチル調査に子どもを参加させている、母親と父親に対面でのサーベイ調査およびインタビュー調査を実施しました。
結果として、子どもにとっての多様なベネフィットを見出し、研究参加を続けることを直接的・間接的に促す “directive telling”(「指示的告知」)をしたいと考える親が多くいることが分かりました。
もし仮に「指示的」な告知がなされやすいとすると、親が子どもに伝えるのをサポートするとともに、親自身も重要なポイントを確認できる素材を提供することが必要だと示唆されます。また、子どもの拒否の意向も含めて、意見を発信する機会を保障することも、研究者の責務と考えられます。もちろん、実際に親子の間でどんな会話がなされ、お子さんが成長過程の中で、どのような認識をもって育っていくのかは、これからフォローする中で明らかになることです。
最後になりますが、本研究に多くのご協力を賜りました、調査協力者の皆様と、エコチル調査、「エコチルやまなし」(甲信ユニットセンター)の皆様に深く御礼申し上げます。
「臨床薬理」誌に論文が掲載されました(臨床試験の語りプロジェクト・中田)
2017/09/19
臨床試験・治験の語りプロジェクトでインタビューを担当していた中田です。
先日、本ブログでお知らせした「臨床薬理」誌に受理された論文が掲載されました。
「患者の経験からみる臨床試験への参加判断とインフォームドコンセントの意義」臨床薬理. 48(2)31-39, 2017.
DOI: http://doi.org/10.3999/jscpt.48.31
本プロジェクトの大きな目標は2つでした。
1.臨床試験・治験に関わった方々の経験談を広く共有するために、データベースをつくる。
2.本プロジェクトで集めたインタビューを分析して得られた知見を発信し、今後の臨床試験実施体制の向上につなげる。
多くの患者さん、関係者の皆様のご協力により、1.のデータベースは2016年11月に完成・公開されました。
現在、インタビューにご協力いただいた多くの患者さんのお話を分析し、2.の成果を積み重ねているところです。
引き続き、本プロジェクトからの成果をご報告できるよう、メンバー一同取り組んでいきます!
(文責:中田はる佳)
2017年度第4回公共政策セミナー
2017/09/06
本日、2017年度、第4回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。
◆日時:2017年9月6日(水)13時30分~16時00分
◆発表者1:永井亜貴子(東京大学医科学研究所公共政策研究分野 特任助教)
◆タイトル:遺伝子検査に利用に対する態度およびゲノムリテラシーに関連する
◆要旨:近年のゲノム解析技術の進歩により、
◆発表者2:井上悠輔(東京大学医科学研究所公共政策研究分野 准教授)
◆タイトル:研究倫理に関する日本の歴史事案の検討
◆要旨:科研費の活動の一環として一昨年から検討している、
【院生室より】前期納会を開催しました。
2017/07/10
皆さま、お変わりありませんか?
M1の菅原風我です。七月になり夏の暑さも本格的になりました。くれぐれも熱中症などにはご用心ください。
武藤研では、前期の納会を七月五日に開催しました。今回の会食は、昨年度ご卒業なさった佐藤桃子さんと昨年度まで研究員としてご在籍していた中田はる佳さんをお迎えしました。お二人とも新しい環境でご活躍なさっているようです。お忙しいなかお越しいただきありがとうございました。
また、飯田さんと私は、同日に初めてのセミナー発表を行ないました。私は、卒業論文の要旨と今後の研究計画について発表を行ない、多くのご質問やご指摘を頂きました。しかし、研究計画がまだ具体化されていないこともあり、満足のいく受け答えができませんでした。そのため、次回の発表がある三月には今回の修正すべき点を踏まえ、ご質問とご指摘に対してしっかりと受け答えをさせて頂きます!
(M1菅原風我)
2017年度第3回公共政策セミナー
2017/07/05
本日、2017年度、第2回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。
◆日時:2017年7月5日(水)13時00分~15時30分
◆発表者1:飯田寛(大学院学際情報学府文化・人間情報学コース 修士課程1年)
◆タイトル:自己紹介及び現在考えている研究計画について
◆要旨:自分の経歴における主な業務内容と現在の研究関心である生命保険と遺伝学的検査について報告を行う。
◆発表者2:菅原風我(大学院学際情報学府文化・人間情報学コース 修士課程1年)
◆タイトル:生物医療における患者と意思決定
◆要旨:今回の報告では、冒頭で卒業論文の内容についてご紹介し、修士課程の研究構想についてご報告致します。近年、検査技術の発展により、罹病リスクが事前にわかるようになりました。報告者の問題関心は、そのような予測的な検査の受検後に罹病リスクのある方々に対して十分にケアがなされているのか、罹病リスクのある方々を取り巻く医療やケアはどうあるべきかという二点にあります。修士課程の研究構想では、特に後者の問題意識から「共有意思決定」について注目し、それがどのように研究と関わって来るのかということも併せてご報告致します。
2017年度第2回公共政策セミナー
2017/06/21
本日、2017年度、第2回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。
◆日時:2017年6月21日(水)13時30分~16時00分
◆発表者1:船橋亜希子(東京大学医科学研究所公共政策研究分野 特任研究員)
◆タイトル:医療過誤と刑事過失
◆要旨:「医療の萎縮」
◆発表者2:内山正登(
◆タイトル:ヒト受精胚へのゲノム編集に関する意識調査
◆要旨:ゲノム編集は簡便性や応用性から、
厚生労働科学特別研究「社会における個人遺伝情報利用の実態とゲノムリテラシーに関する調査研究」班の活動終了!(武藤)
2017/06/16
昨年度、厚生労働科学特別研究「社会における個人遺伝情報利用の実態とゲノムリテラシーに関する調査研究」を預かりました。非常に短い期間でしたが、活動が終了し、本日、厚生労働省内で記者会見を行いました。
厚生労働省が設置した「ゲノム医療実用化推進タスクフォース」による「ゲノム医療等の実現・発展のための具体的方策について(意見とりまとめ)」では、研究・医療等におけるゲノム情報の取扱いに係る国民の懸念や現状等の把握、またその社会実装における課題の整理等は十分なされていないことから、「実態等の把握を行った上で、法的措置も含めゲノム情報の取扱いに係る制度を整備する必要性について検討する必要がある」と指摘されています。
そこで本研究では、研究・医療等におけるゲノム情報の取扱いに係る国民の懸念とともに、雇用分野における遺伝情報の取り扱いの実態を産業医への調査から把握するとともに、その結果を踏まえて、国民のゲノムリテラシーを醸成するための啓発資料を制作することを目的として、(1) 遺伝的特徴に基づく差別的取扱いをめぐる概念整理に関する研究、(2) 米国とカナダにおける遺伝情報に基づく差別をめぐる法的規制の動向に関する研究、(3) 遺伝情報の利用や差別的取扱いへの一般市民の意識に関する研究、(4) 遺伝的特徴に基づく差別的取扱いに関する患者・障害者のヒアリング調査、 (5) 国民のゲノムリテラシーを醸成するための啓発資料制作を行いました。
記者会見の説明資料は、こちらをご覧下さい。
6月3日(土)オープンラボ、6月4日(日)教室説明会・活動報告会のご案内【随時更新】
2017/05/30
平成30年度(2018)年度に大学院入学を希望され、当研究室での研究を検討されている方は、下記の機会がございます。ぜひお越しください。
■公共政策研究分野 オープンラボ
日 時:2017年6月3日(土)13時~17時
場 所:公共政策研究分野セミナー室(白金台キャンパス ヒトゲノム解析センター3階)
対象者:大学院に進学し、当研究室にて研究することを検討されている方
内 容:研究室メンバ―が、研究室案内と進学相談に応じます。
※個別面談が可能です。ご来場を希望される方は、事前申込をお願いします。
【6/3オープンラボ申込み】のタイトルで「pubpoli‗ims.u-tokyo.ac.jp」(‗のところに@を入れてください)まで、①名前②所属③電話番号④希望時間をお送りください。
■公共政策研究分野 教室説明会・活動報告会
日 時:2017年6月4日(日)11~14時(報告会は13時まで予定)
場 所:公共政策研究分野セミナー室(白金台キャンパス ヒトゲノム解析センター3階)
内 容:11~13時は当研究室所属の研究員と大学院生、修了生が日頃の活動や研究内容を紹介します。13時以降は個別相談を予定しています。
【プログラム(予定)】
1.開会あいさつ
2.研究室紹介
3.研究室の活動紹介
1)内山正登「ヒト受精卵へのゲノム編集の利用をめぐって(仮)」
(大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻 後期博士課程)
2)李 怡然「これまでの研究と今後の課題~遺伝性疾患の親から子への告知について(仮)」
(大学院学際情報学府 学際情報学専攻 文化・人間情報学コース 博士後期課程)
3)藤澤空見子「大学院生活から就職活動まで(仮)」
(大学院学際情報学府 学際情報学専攻 文化・人間情報学コース 修士課程修了)
4.質疑応答
※ご来場を希望される方は、事前申込をお願いします。
【6/4報告会申込み】のタイトルで「pubpoli‗ims.u-tokyo.ac.jp」(‗のところに@を入れてください)まで、①名前②所属③電話番号をお送りください。
第2回「研究倫理を語る会」講演内容の動画公開
2017/05/23
2017年2月11日に開催しました「第2回研究倫理を語る会」の一部講演内容が、ICR 臨床研究入門で公開されましたのでお知らせいたします。
ご覧いただくにはユーザー登録が必要です。
資料もダウンロードできますので、ご活用いただけましたら幸いです。
◆「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」 ・・・3月8日公開
講師:厚生労働省 矢野好輝氏
(緊急セミナー「研究倫理指針の改正について」と同様の内容を他会場で収録したもの)
https://www.icrweb.jp/course/view.php?id=303
◆特別講演1:「医学研究と個人情報保護のあり方」 ・・・3月8日公開
講師:東京大学 米村滋人先生
https://www.icrweb.jp/course/view.php?id=302
◆特別講演2:「研究不正、企業不正の背景を考える」・・・5月23日公開
講師:日本学術振興会 黒木登志夫先生
https://www.icrweb.jp/course/view.php?id=307