日本遺伝カウンセリング学会誌に論文が掲載されました。(佐藤、武藤)
2021/12/07
D2の佐藤です。
このたび、日本遺伝カウンセリング学会に以下の論文が掲載されました。
佐藤桃子、神里彩子、武藤香織「出生前遺伝学的検査における用語「マススクリーニング」使用に関する言説分析」『日本遺伝カウンセリング学会誌』42:307-317, 2021
日本の出生前遺伝学的検査のガバナンスにおいて、「マススクリーニング」は一貫してやってはいけないことであり、回避すべきあり方だとされてきました。
しかし、「マススクリーニング」が具体的にどのような実施のことを指しているのかは、必ずしもはっきり定義されているわけではありません。
本研究では、1990年代に導入された「母体血清マーカー検査」と、2010年代に導入された「NIPT(非侵襲的出生前遺伝学的検査)」それぞれの実施方針を決めた会議の議事録と、方針に対する団体の意見書から、「マススクリーニング」がどのような実態を指して使われているか調査しました。
その結果、大きく分けて「すべての妊婦さんに強制される状態」という解釈と、「希望する妊婦さんが全員受けることのできる状態」という解釈の2つがあり、単に「マススクリーニング」ではどちらを指しているか判別できないことが分かりました。
この状況では議論が曖昧になってしまうため、今後は「マススクリーニング」という用語は使わず、「検査が強制かどうか」「対象者は誰か」の2点を明らかにして具体的に言い換えていくことを提案しました。
修士論文の内容を元にした論文で、先日の生命倫理学会でも追加の分析を加えて発表することができました。
今年、NIPTの方針について見直しが決まり、情報提供のあり方が議論されていく中で、その一助になれば幸いです。
遺伝性乳がん卵巣がん症候群に関する書籍にて、倫理的課題に関する章を執筆しました(李、武藤)
2021/11/19
助教の李です。
遺伝性乳がん卵巣がん症候群(Hereditary Breast and Ovarian Cancer: HBOC)について、日本の研究者・医療者から、最新の知見や臨床実践を発信する書籍が刊行されました。
本書にて、倫理的・法的・社会的課題(ELSI)を論じた章を執筆いたしました。
Izen Ri, Kaori Muto. (2021)
Ethical Issues: Overview in Genomic Analysis and Clinical Context.
In: Seigo Nakamura, Daisuke Aoki, Yoshio Miki. (eds.)
Hereditary Breast and Ovarian Cancer: Molecular Mechanism and Clinical Practice. Springer, Singapore. (ISBN: 978-981-16-4520-4)
https://doi.org/10.1007/978-981-16-4521-1_17
ここ十数年の間に、がんゲノム診療や研究は大きく転換を迎えました。技術革新に伴い登場した新たな論点に加えて、時代を超えても通底する倫理的な原則や、患者さんや家族を支える意思決定支援のあり方について、国内外の研究蓄積を紹介しています。
前半では、遺伝学的検査、偶発的・二次的所見の取り扱い、ゲノムデータの共有に関する近年の議論、後半では、予防的切除の倫理、遺伝情報の守秘義務と結果返却、家族内におけるリスク告知といった、臨床における諸課題に関して、共同意思決定(SDM)のアプローチを紹介しつつ、まとめました。
大学院生時代から調査や検討を続けてきたテーマであり、個人的にも貴重な機会となりました。日本と海外の研究を結ぶ一助につながれば幸いです。
2021年第6回公共政策セミナー
2021/11/10
本日第6回公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。
◆日時:11月10日13時半~16時
◆発表者:河合香織(大学院学際情報学府文化・人間情報学コース修士課程)
◆タイトル:遺伝性疾患における結婚出産の葛藤とは何かーハンチントン病を手
◆要旨:遺伝性疾患の患者、家族にとって、遺伝的なリスクの家族内での共
【院生室より】プレゼンテーション研修を受けました
2021/10/27
院生ゼミでは本年度より視野を広げる、ネットワークを拡げることを目標に、これまでの院生からの研究の進捗等の発表に加えて、ゲストをお呼びしたり研修を受講することなどに取り組んでいます。第一弾は、当武藤研究室の渡部特任研究員をゲストスピーカーに呼んで質的研究の分析方法について学びました。また、追加でMAXQDAソフトの使い方について講義いただきました。
今回は第二弾として、外部業者による当院生ゼミ用に準備していただいたプレゼンテーション研修を受講しました。今回の研修はアカデミア用の特別なものではなく、一般に向けたプレゼンテーションに関する研修でしたが、得られたことが多かったように思います。プレゼンテーションでは自分の研究を伝えたいので、つい自分目線になってしまいがちですが、相手に理解してもらうことが一義であるので、相手の目線になって資料を作成すること。そのために文字の大きさや色の使い方などに工夫が必要であること。スピーチも興味を持ってもらうために冒頭で自己紹介を活用する方法や、オンラインで一方的になる場合でも質問を投げかけて間を取る方法などのテクニックを教えていただきました。研修の中でも実際にお題に基づいたプレゼンテーションをおこない、各自が適切なアドバイスを受けることができたと思います。
今後のプレゼンテーションに今回の研修を活かして、相手に伝わる分かり易く興味をひくプレゼンテーションをおこなうことを心掛けていきたいと思います。
(D3・飯田)
2021年第5回公共政策セミナー
2021/10/13
本日第5回公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。
◆日時:10月13日13時半~16時
◆発表者1:李 怡然(東京大学医科学研究所 公共政策研究分野 助教)
◆タイトル:認知症関連疾患の超早期予測・予防の倫理的課題を考える
◆要旨:認知症・アルツハイマー病をめぐる新たな展開として、症状があら
◆発表者2:井上悠輔(東京大学医科学研究所 公共政策研究分野 准教授)
◆タイトル:パンデミック・ワクチンの展開を規定するもの:OECD諸国間の
◆要旨:日本と同様、多くの先進国では、新型コロナウイルス感染症に関す
2021年第4回公共政策セミナー
2021/09/09
本日第4回公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。
◆日時:9月8日13時半~16時
◆発表者1:高嶋 佳代(大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻 博士後期課程)
◆タイトル:患者対象のFirst in human(FIH)試験における倫理的課題の探索ーリスクベネ
◆要旨:あたらしい治療法の臨床応用には、人を対象とした臨床試験が必要
◆発表者2:木矢幸孝(東京大学医科学研究所 公共政策研究分野 特任研究員)
◆タイトル:遺伝学的リスクの告知/非告知という行為の体系的な説明に向けた
◆要旨:遺伝性の病いをもつ人々は自己の病いの問題だけでなく、遺伝学的
【院生室より】職場体験の受け入れをしました
2021/07/21
「院生室より」、大変久しぶりの更新となってしまいました。
7月20日(月)、21日(火)に、田園調布雙葉中学高等学校から職場体験の受け入れを行いました。
10名の高校1年生の方に、がん遺伝子パネル検査(20日)とiPS細胞を用いた研究(21日)に関するパンフレットを、小児にも分かりやすく改訂する作業をお願いいたしました。
リモートでの開催となりましたが、積極的に取り組んでいただき、貴重な改善案がたくさん挙がったのは大きな収穫です。
いただいた案をもとに、パンフレット改訂に取り組んで参ります!
ご参加いただいたみなさま、本当にありがとうございました。
(D2-佐藤桃子)
2021年第3回公共政策セミナー
2021/07/14
本日第3回公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。
◆日時:7月14日13時半~16時
◆発表者1:楠瀬 まゆみ(大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻 博士後期課程)
◆タイトル:医学研究へのヘルスケアデータの提供と利活用に関する
◆要旨:近年パーソナルデータの利活用が活発となり、医学研究においても
◆発表者2:北林 アキ(大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻 博士後期課程)
◆タイトル:患者・市民の視点を踏まえた医薬品情報の提供を実現するための課
◆要旨:医薬品には副作用等のリスクがあり、製造販売後も引き続き情報収
2021年第2回公共政策セミナー
2021/06/09
本日第2回公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。
◆日時:6月9日13時半~16時
◆発表者1 飯田 寛(大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻 博士後期課程)
◆タイトル:労働分野でのゲノム情報の取扱いをめぐる諸課題に関する研究ー対
◆要旨:諸外国では、遺伝的特徴に基づく差別を防止するという観点からゲ
◆発表者2 佐藤桃子(大学院学際情報学府文化・人間情報学コース 博士後期課程)
◆タイトル:科学研究の成果発表における 「人種」という用語の使用
◆要旨: 第二次世界大戦以降、優生思想への反省から、raceという概念
本発表では、日本語の「人種」も科学的文脈では可能な限り使用せ
「医療AI」に関する厚労省研究班の報告書が公表されました。
2021/06/08
「医療AI」のELSI(倫理、法、社会課題)について、厚生労働省の研究班が2019年から活動しています。AI(人工知能)と「医療におけるAI」との距離感、研究開発から臨床応用まで、また文献検討から意識調査、市民行事まで多様な取り組みを展開してきました。ここではこれまでの報告書を掲載します(全文を以下の厚生労働省のウェブサイトから見ることができます)。
医療におけるAI関連技術の利活用に伴う倫理的・法的・社会的課題(2019、2020)
厚生労働科学研究費補助金政策科学総合研究事業(倫理的法的社会的課題研究事業)
報告1(2019年5月)https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/27001/1
報告2(2020年8月)https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/27612/1
医療AIの研究開発・実践に伴う倫理的・法的・社会的課題に関する研究(2021)
厚生労働科学研究費補助金政策科学総合研究事業(倫理的法的社会的課題研究事業)
中間報告(2021年5月)未掲載
その他、ご関心がある方は以下の文献もご参照ください。
・井上悠輔, 菅原典夫
医療への人工知能(AI)の導入と患者・医師関係
-AIの「最適解」をどう考えるか
病院 79(9) 698 - 703 2020年9月
・武藤香織, 井上悠輔
医療AIと医療倫理-患者・市民とともに考える企画の試みから
医学のあゆみ 274(9) 890 - 894 2020年8月
・井上悠輔
医療AIの展開と倫理的・法的・社会的課題(ELSI)
老年精神医学雑誌 31(1) 7 - 15 2020年1月
・参照:日本医師会第Ⅸ次学術推進会議報告書
「人工知能(AI)と医療」
医療AIの展開と倫理的・法的・社会的課題(ELSI)、2018年6月
https://www.med.or.jp/nichiionline/article/006805.htm
活動報告会/教室説明会を開催しました
2021/06/07
【受付終了しました】(★5/19更新)活動報告会/教室説明会【6/5(土)】:お申込み受付の開始
2021/06/05
【5/19更新】日時と当日の内容を更新し、参加登録の受付を開始しました。
恒例の公共政策研究分野主催の活動報告会/教室説明会を今年も実施します(ウェブ開催)。
公共政策研究分野の活動は多岐にわたっています。この間、どのようなテーマに取り組んできたか、メンバーより紹介させていただきます。また、この会は、入試・進学先として、この研究室にご関心がある方への研究室説明会を兼ねています。
※大学院への進学をご検討中の方は、こちらの記事もご覧ください。
◆開催日時:
2021年6月5日(土)13時~15時30分頃(予定)
◆参加方法: オンライン会議システム・Zoomを利用します。
◆当日の内容
1. 当研究室の紹介・大学院の案内
2. 研究室メンバーによる最近の活動報告(※順不同。
・「不適切な治療」で患者が死亡した場合の法的責任ー過去の裁判例を参考に(船橋 亜希子)
・遺伝学的リスクの社会的機能(木矢 幸孝)
・全ゲノム解析に対する患者・市民の期待と懸念(李 怡然)
・患者・市民の視点を踏まえた医薬品情報の提供を実現するための課題の検討(北林 アキ)
・外国人患者の言語支援と機械翻訳:医師・通
・COVID-19対策の当事者研究:役割葛藤と研究実践(武藤 香織)
3. 質疑応答
◆お申し込み方法
参加をご希望の方には事前登録をお願いしています。下記の「申込みをする」ボタンをクリックして、申し込みフォームより、ご登録ください。
※お申込み締め切り:6月4日(金)正午(12:00)
お申込みいただきました方には、6月4日(金)中に、zoom参加のためのURLをご連絡差し上げます。
※障害等を理由に、配慮をご希望の方は、「介助・特別な配慮が必要な方はご記入ください」欄にてご相談ください。
※当研究室への進学にご関心のある方は、「ご意見・ご要望」欄に、検討されている研究科名をお書き添えください。
(大学院入試を受験される方は、事前に教員との面談が必要になります。別途、研究室窓口までご連絡ください。)
医療通訳の役割、医療AIと通訳の接点に関する調査報告の公表
2021/05/27
2018年度から、厚生労働省の研究班として、医療AI(人工知能、拡張機能)をめぐる倫理、法、社会的な諸課題の検討を行っています。このたび、医療現場で「人」「機械」が果たす役割を考えるための一つの視点として、患者と医療者をつなぐ「言語」、特に外国人医療における通訳の方の役割と未来のあり方に注目して、調査を行いました。
『医療通訳の役割・多言語音声翻訳ツールに関する意識調査:医師・医療通訳者を対象とした質問票調査を通じて』
この報告書には大きな特徴がいくつかありますが、特に次の二つを挙げます。
まず、この調査では、200名を超える全国の医療通訳の方々のご厚意により、医療現場における通訳者の役割や、言語処理の機械化・自動化の影響に関する回答を得ました。その際、全9言語(日本語、英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、タガログ語、ベトナム語、インドネシア語)の設問を用意しました。日本語の設問に対応できない方、非英語に対応する通訳の方にも多く協力いただきました。これらの方々に記載いただいた自由回答もすべて日本語に訳して巻末に収載しています。
また、この調査では300名を超える医師からも回答をいただきました。医療現場での音声機械翻訳の主たるユーザーは医療者です。そこで医師の視点からも、通訳者の役割やAIツールへの期待や懸念について調査を行い、通訳者の回答と比較をしてみました。
検討をすすめるなか、調査をする我々は、医療通訳に従事する方々の活動がいかに多様で複雑なものであるか、知らなかったことを痛感しました。かなり断片的ではありますが、通訳者の方々が何を重視し、何を望んでおられるかについても、調査の柱として検討することとしました。
この報告書のほか、近日中に医師の回答に注目した論文も発表される予定です。またここで紹介させていただきます。
2021年第1回公共政策セミナー
2021/05/13
本日第1回公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。
◆日時:5月12日13時半~16時
◆発表者1.渡部 沙織(東京大学医科学研究所 公共政策研究分野 特任研究員)
◆タイトル:「希少・難治性疾患のELSIに関する質的研究」
◆要旨: 本報告では、今年度実施を予定している2つの質的調査について計
◆報告2. 河合 香織(大学院学際情報学府文化・人間情報学コース 修士課程)
◆タイトル:「遺伝性疾患における結婚出産に関する助言のあり方の検討」
◆要旨: 遺伝学的特徴による結婚や出産をめぐる悩みは、患者・家族にとっ
2020年第10回公共政策セミナー
2021/03/10
本日第10回公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。
◆日時:3月10日13時半~16時
◆発表者1.北林 アキ(大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻博士後期課程)
◆タイトル:患者・市民の視点を踏まえた医薬品情報の提供を実現す
◆要旨:医薬品は、品目毎に厚生労働省の承認を受けて初めて製造販
取っているのが現状である。そこで、我が国の現状の原因を探り、状況の改善策の提案に繋げる
について、文献調査及び調査研究(アンケート調査)により現状を
◆発表者2.飯田 寛(大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻 博士後期課程)
◆タイトル:労働分野でのゲノム情報の取扱いをめぐる諸課題に関す
◆要旨:諸外国では、遺伝的特徴に基づく差別を防止するという観点
2020年第9回公共政策セミナー
2021/03/03
本日第9回公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。
◆日時:3月3日13時半~16時頃
◆発表者1.楠瀬 まゆみ(大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻博士後期課程)
◆タイトル:研究へのパーソナル・データの提供とベネフィット・シ
◆要旨:科学技術の研究や発展に貢献した人々は、その利益を共有す
◆発表者2.李 怡然(東京大学医科学研究所 公共政策研究分野 助教)
◆タイトル: がんの網羅的ゲノム解析における倫理的課題の検討に向けて
◆要旨:近年、多様な疾患において、次世代シーケンサー(NGS)
公衆衛生倫理に関する著作の無料公開について(井上)
2021/01/18
勁草書房より、公衆衛生の過去の制度の展開に関する拙著の一部が、無料で公開されることになりました。
現在、新型コロナウイルス感染症への対応をめぐって、国会で法改正に向けた議論が始まっています。歴史は、過去の反省をするうえでも、今後の中長期的な論点を考えるうえでも、多くの検討材料を示してくれます。この公開された部分は、「伝染病予防法」や「エイズ予防法」、「らい予防法」など、今日の感染症法の議論の前身や背景になった、法律やその経過を紹介した部分になります。なかなか類書がない中、執筆には苦労した記憶があり、無論、まだ未完の作業であるとも思っています。
過去の法律には強権的で今日では許容されない内容も多くあります。ただ、公衆衛生の倫理として考えると、どの価値に重きを置いていたか、どの価値を優先して考えていたか、という整理が重要になります。同様の視点は、今日の感染症法についてもいえます。また、過去の議論に学ぶならば、感染症対策における「予防」対応にどのような手順を設けるか、個人への差別的な対応について実際にどのように取り組むのか、感染症法の成立時に抜けていた論点もあるように感じています。今ちょうど感染症法や検疫法、新型インフルエンザ等特措法のあり方が議論されていますが、いま議論されている課題、あるいは議論されなかった課題が、この後の数十年にわたる社会を規定するかもしれない、そのような思いで日々の出来事に向き合うつもりです。
https://keisobiblio.com/2021/01/28/atogakitachiyomi_nyumoniryorinri3_2/
その他、この章では予防接種、「優生」、精神衛生をめぐる諸制度の展開が検討されています。
https://www.keisoshobo.co.jp/book/b210750.html
2020年第8回公共政策セミナー
2021/01/13
本日第8回公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。
◆日時:1月13日13時半~16時頃
◆発表者1.高嶋 佳代(大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻博士後期課程)
◆タイトル:患者対象のFIH試験における倫理的課題の検討
◆要旨:治療法の開発プロセスの中で、動物実験などを経て初めてヒトを対
◆発表者2.佐藤桃子(大学院学際情報学府文化・人間情報学コース博士後期課程)
◆タイトル:出生前遺伝学的検査のガバナンスの言説分析--用語「マススクリーニング」を使うのはもうやめよう--
◆要旨:出生前遺伝学的検査において「マススクリーニング」という実施の
の含意を明らかにし、現状のガバナンス議論における問題点を整理
第3回患者・市民参画研究会を開催します
2021/01/06
病気や健康をめぐる研究開発の現場では、研究する側、される側の垣根を超えたパートナーシップのもとに、より良い研究を目指す「研究への患者・市民参画(PPI)」が注目を集めています。
では、PPIとは具体的にどのようなことを指すのでしょうか。国内では、誰がなぜ、どのように進めており、誰の参画が求められているのでしょうか。日本に適したPPIのあり方とは、そしてPPIが目指す「より良い研究」とは一体どのようなものなのでしょうか。参画すること、あるいは参画して頂くことに関心を持った場合には、どうすればよいのでしょうか。
そこで、PPIに関する知識を得たり、情報共有や意見交換を行ったりする場として、「患者・市民参画研究会」を企画しました。公共政策研究分野は、共催組織として参画しております。
国内において、このような場は極めて限られた状態にありますが、環境整備の第一歩になればと考えています。
今年度は、「脱・貴重なご意見ありがとうございました」というテーマを掲げ、シリーズ企画で開催します。
第3回目もラジオ形式ですが、今回は、双方向に質疑応答をしながら進行しますので、みなさまからの質問やコメントを、ぜひお待ちしております。
申込を完了した方限定で動画配信もするため、当日ご都合が合わない方のお申込みも、お待ちしています。
詳細・申込については、以下のURLをご参照ください。ご参加、お待ちしております(申込〆切:1/25(月) 0:00)。
https://ppijapan-webinar-
Journal of Human Genetics に論文が掲載されました(飯田、武藤)
2020/12/11
D2の飯田です。
このたび、Journal of Human Genetics に以下の論文が掲載されました。
Hiroshi Iida, Kaori Muto. Japanese insurers' attitudes toward adverse selection and genetic discrimination: a questionnaire survey and interviews with employees about using genetic test results. Journal of Human Genetics. 2020 Nov. DOI: 10.1038/s10038-020-00873-y.
https://www.nature.com/article
1990年代以降、海外では遺伝学的検査結果利用について生命保険は注目される分野でした。検査結果によって将来病気の発症が予想される人が保険の加入が出来ないという差別に陥るのではないか、一方で生命保険会社は人々が検査結果を隠して保険に加入するという「逆選択」によって収益が悪化するのではないかということが危惧されてきました。しかし、日本においては現在遺伝学的検査結果の利用に関する規制はなく、生命保険会社もここ20年ほどこの問題について沈黙を保っています。
そこで、日本の生命保険会社の態度を明らかにすべく、生命保険会社社員100名への無記名式アンケート調査とその中での協力者9名へのインタビュー調査を実施いたしました。その結果をもとに、本論文では、生命保険会社社員が遺伝学的検査利用の規制や逆選択についてどのように考えているのかについて考察しました。
日本での生命保険会社の遺伝学的検査利用に関する規制等の作成にあたって、有識者との議論の活性化し、世間の理解を得ることに繋がればと考えております。